2010年02月28日

いい音といい録音の違い

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オーディオはかつてのブームほどではなくても、一定のフアン層に支えられ、メーカーも成り立っているように思う。

世の中がなんだか軽薄になってきたような感じで、ものごとを深く追究するような人も少なくなったかも知れない。
そう思っている中で、話の通じる人に会うとみょうに嬉しくなる。

深く追究すると言えば、いわゆるオタクを想像する人がいるかも知れないが、オタクとはまた違った部類と思う。

音の好みは各人各様であっても、違いがわからないと言われると、ちょっとがっかりする。
最近の若者は、すべてではないが車を欲しがらない、ビールを飲まない、草食系などと評されているが、音に対しての感性はどうなのだろう?

音にこだわりがあるのだろうか?
こだわりはないが、オーディオという分野があったり、そういう店があるから、何かおもしろいことがあるかも知れないと探索しているのだろうか?

前置きが長くなったが、ひとことでいい音というのも抽象的で、ある人が「いい音がする」と言ったので、試してみたらがっかりということもある。

例えば「この真空管アンプいい音がする」と言った場合「私はこの真空管アンプの音が好きだ」と言っているのだろう。

私はアンプは真空管だろうがトランジスタであろうが、そういう種類にはこだわらない。
結果主義なのだ。
ただ、私の思う結果に沿ったアンプで真空管アンプは未だに出会ったことがない。

それは、私がオーディオに関していい音と言う場合、それは高忠実度を基準にしている。
つまり、いかに原音に忠実であるか(HiFi)ということである。

この基準からいくと、コントロールアンプ(プリアンプ)は真空管アンプでも納得できるものがあるが、メインアンプ(パワーアンプ)では気に入ったものがない。
何が不満かというと、レンジが狭い。低域も広域も苦しい。
そこへいくと、良質なトランジスタアンプは低域も広域もストレスなくのびのびとしている。
ドライブ能力もトランジスタの方が優っている。ダンピングもよい。

いい音という表現に対しいい録音というのは違う。
私がいい録音というのは、ひとことで言えば「音楽的」ということである。

音楽的という言葉も誤解を生みやすいと思うが、わかりやすいのはレンジの広さダンピングといった物理的要素には関係ないということだ。

生演奏に対して、CDのような録音媒体を通しての音楽は録音技術も含めて表現としてとらえているわけである。

録音技術者は、演奏者の意図、作曲者の意図をよく汲み取り、録音物という作品に仕立てるという役目が大切であり、ただ単に記録すればよいという感覚でやっていたとしたら、いい録音はできないということである。
posted by dolce at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

2010年02月27日

小菅 優/ショパン 練習曲全集

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kosuge_yu.jpg演奏:★★★★★
録音:★★★★★

ショパン生誕200年。何を買おうか?
と迷ったあげく、小菅優のショパンは正解だった。

今年はショパン生誕200年。
フレデリック・フランソワ・ショパン (Frédéric François Chopin, ポーランド名フリデリク・フランツィシェク・ショペン Fryderyk Franciszek Szopen, 1810年3月1日(2月22日(出生証明の日付)、1809年3月1日説あり) - 1849年10月17日)はポーランド出身の前期ロマン派音楽を代表する作曲家である。当時のヨーロッパにおいてもピアニストとして、また作曲家として有名であった。その作曲のほとんどをピアノ独奏曲が占め、ピアノの詩人とも呼ばれるように、様々な形式、美しい旋律、半音階的和声法などによってピアノの表現様式を拡大し、ピアノ音楽の新しい地平を切り開いた。ノクターンやワルツなど、今日でも彼の作曲したピアノ曲はクラシック音楽ファン以外にもよく知られており、ピアノの演奏会において取り上げられることが最も多い作曲家の一人でもある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より。

上記のように1809年説もある。

ショパンを聴くにはどのCDを買ったらよいか迷う。
すでに、ショパンのCDは何枚か持っている。
アシュケナージ、アルゲリッチ、どれも演奏はすばらしいが、録音が気に入らない。

あまり録音を気にしない人もいるようだが、私は気にする方である。
その録音の良し悪しだが、音楽のCDの場合、私の判断は生に近いではない
最近はHiFiという言葉をみかけないが、HiFiとはHigh Fidelityのことで、訳せば高忠実度、つまり生に近いということでいいと思う。

昔、各家庭がラジオを一台買うのが精一杯であったころ、そろそろ日本も豊になりかけ、ちょっとお金のある家からステレオを買出した時、それはラジオとはあまりにも音が違うので、生々しいという印象が強かった。
それで、HiFiという言葉が飛び交っていた。

録音マニアと言われる様な人たちは、録音機まで買い込んで、如何にリアルであるかを競っていた。

私の感覚では、そういうリアルさを競う録音ではなく、音楽として好ましい音の録り方を基準にして、音のいい悪いを判断している。
だから、ミキサーやプロデューサーの役割は大きい。
例えば、同じグラモフォンでもドイツ・グラモフォンやイギリスのグラモフォンはいいが、国内盤のグラモフォンはことごとく期待を裏切っている。

今日は天気がよく、三階の私の部屋にも春を思わせる空気がただよってくる。
外に出て少し行くと川があり、先日散歩していたら白鳥が泳いでいた。
河川に沿った道では、春になると桜並木が美しい。
桜はまだだが、今日のような日にはこの川縁を散歩するのも悪くない。

もうすぐ春を感じながら、窓から時折入り込む空気を感じながら、小菅優のショパンが流れる一時を過ごすのも悪くない。

posted by dolce at 13:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏家

2010年02月26日

カール・ライスター

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カール・ライスターは、ベルリンフィルの元、首席クラリネット奏者である。
来日したとき、気さくに寿司屋で話をしてくれた。
前にも書いたが、彼の言葉「自然による啓示」がずっと記憶に残っている。

ロスアンジェルス交響楽団の首席がライスター氏に会ってから、ベームシステムからエーラーシステムに変更したと聞いて驚いたが、私もエーラーシステムに非常に興味を持った。

その魅力は音色であるが、運指は難しく、エーラーシステムに変更すると、テクニックが30パーセントぐらい落ちるという人もいる。

そのシステムで、ライスター氏は運指の苦労を少しも感じさせないテクニックでなめらかな音楽を奏でる。

学校の吹奏楽では、厚いリードを勧める先生が多いようだが、ライスターのリードは厚くない。
(「もう、上級生になったんだから、もう一つ上の厚さにしなさい」と生徒に言ったという先生がいたと聞くが、罪なことを言ったものだ)
ライスターのリードは厚くないというより、薄いと言った方がよい。
リードが厚いと、柔軟な曲想をつけることができない。
もちろん、音が薄っぺらでよいということはない。

ウエーバーの五重奏曲を、彼がなめらかにまろやかな音色で演奏する情景を見ると、またエーラーシステムへの誘惑にかられる。
もちろん、楽器を変えればライスターのような演奏ができるというものではないが。
posted by dolce at 20:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | 演奏家

2010年02月24日

ドビュッシー/小組曲 その他

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debuussy.jpgジャン=フランソワ・パイヤール指揮
ジャン=ビエール・ランパル指揮
パイヤール室内管弦楽団
ハープ:リリー・ラスキーヌ
フルート:ジャン=ピエール・ランパル
チェロ:ポール・トルトゥリエ
ピアノ:ジャン・ユボー
ウ゛ィオラ:ピエール・パスキエ
ヴァイオリン:シャルル・シルルニク

演奏:★★★★★
録音:★★★★★

ハープが素敵な空間を作る

これが、このCDを聴いた初めの印象。
ERATOは他の会社のCDを日頃聴いていると、また違った音で新鮮な感じを受ける。

曲の感じをうまくとらえた録音で、名手ぞろいの演奏をさらに引き立てている。

=== 曲目 ===

================================================
すべてドビュッシー作曲

小組曲

神聖な舞曲と世俗的な舞曲〜ハープと弦楽のための

6つの古代碑名

フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ

チェロ・ソナタ

ヴァイオリン・ソナタ

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小組曲ははじめピアノの連弾として作曲されたが、初演は不評だったと言われている。
管弦楽に編曲されて有名になったが、実際に聴いてみると、この曲はもとから管弦楽用の曲だったように思える。

小組曲以外の曲も聴きばえのある曲だし、どこか日本の民謡を想起させるものもある。

ドビュッシーが何を考え、作曲したのか想像して聴いた。
私にとっては幸せな一時を作ってくれたCDである。

よく「癒し」という言葉を聞くが、私にとっては癒し以上のCDコレクションが増えた。
posted by dolce at 22:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | レコード・CD

2010年02月24日

ハチャトゥリアン/仮面舞踏会

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バンクーバー・オリンピック、フィギュア・スケートで浅田真央選手が演技する曲だが、前から気になっていた。

曲はいい曲なのだが、演奏がよくない。
軽くて、表面的な演奏と感じていた。
なぜ、もっといい演奏を選ばないのかと思っていた。
氷の上を滑るのだから、上滑りの演奏を選んだわけでもあるまい。

もっと、嫉妬で胸が掻きむしられるような演奏にすべきと思うのだ。
楽しく滑るというより、悪魔的で深刻さを表現すべきではないかと思う。

そういう意味では、悪魔的な表情を時折見せる、キム・ヨナに合っている曲かも知れない。



浅田真央はすばらしい選手なのに、私としては演出不足を感じて残念。

それにしても、あの競技場を流れる曲の演奏はなんて軽い演奏なんだと思う。

以上、私の勝手な感想でした。
posted by dolce at 20:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽と生活

2010年02月21日

アルテュール・グリュミオー/フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ

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Grumiaux.jpgヴァイオリン:アルテュール・グリュミオー
ピアノ:イストヴァン・ハイデュ
演奏:★★★★★
録音:★★★★★

自分をことさら誇示するでもなく、それでいて説得力がある。
聴いていて、心が安らぐ演奏だ。

日曜日のひととき、コーヒーでも入れてゆったり聴く、そこにグリューミオー、ハイデュの演奏が聴こえてくる。
なんとも贅沢な時間だと感じる。

そんな思いにさせてくれる録音である。
ことさら、自分を宣伝するとか、一生懸命やってますを通り越し、心から音楽に浸りきって、ごく自然に流れる。

若いウ゛ァイオリニストも、経験を積んで、やがてこのように成長していくのだろうか。

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== 曲目 ==

フォーレ
ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 作品13

ドビュッシー
ヴァイオリン・ソナタ ト短調

フランク
ヴァイオリン・ソナタ イ長調

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posted by dolce at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | レコード・CD

2010年02月18日

吹奏楽はいいんだけど

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吹奏楽の透明感は魅力的である。

でも、私はクラリネットを吹いているが、吹奏楽の中に入って演奏する気にはなかなかならない。
人によっては、えらそうなどと言う人がいるかもしれないが、決してそういう意味ではない。

神経を使って音を出しても、ぶっきらぼうな音にかき消され、演奏の意欲をなくすという経験をしばしばしたからだ。

決して上手ではないが、編成の中にクラリネット一本、あるいは純然たるソロの方が好きだ。
理由は、その方が自己責任であるし、私はこう表現したいという意図がよく伝わるからとも言える。

クラリネットは自分だけの場合「クラリネットが下手だ」と言われたら、それは自分に言われているということがよくわかる。

そういう意味では、オーケストラの中に入って演奏するというのは魅力がある。

こういうことはもいい悪いという問題ではなく、性格的なものだと思う。

人によっては、大勢の中で演奏するのがうまい人もいる。
それは、下手でもよいという意味ではない。
集団の一部として溶け合うやり方がうまいということであって、それも大切な人材であると思う。

だから、編成はそういう人の性格も考慮してつくることがいいのだろうと思う。

と、ここまで考えてくると、楽器と人の相性というのもある。
体格的な相性もあるが、性格的な相性もある。

優柔不断な性格の者に打楽器をやらせたら、遅れることが多いだろうし、トランペットに控えめな性格も合わないだろう。

学校では、やがて迎える新学期、部員募集、パート決めで指導者はよく考えてもらいたい。
posted by dolce at 21:22 | Comment(5) | TrackBack(0) | 吹奏楽

2010年02月14日

耳に心地よい金管アンサンブルを

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トランペットの、ティーナ・ティング・ヘルセットを中心とする金管アンサンブルと思われるが、このように聴きやすい金管アンサンブルはいいですね。

力んだり、力で押しまくるようなアンサンブルは聴いていて疲れる。

演奏する方も、余計な力が入っていない演奏は聴きやすい。

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posted by dolce at 10:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | コンサート評

2010年02月12日

ショルティ/マーラー 交響曲第五番

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懐かしい、ショルティのマーラー。



かつて、ホールで聴いた時と同じ映像だ。

さっそうとショルティが現れ、まるで日本刀を操るかのような指揮だった。
マーラーの五番の冒頭では、禿頭のハーセスが全く光っていない、錆びたようなトランペットで吹いた。

そんなトランペットで、音は大きなホール全体に響き渡った。
シカゴ響を生で聴いたのは初めてだった。

噂では、強烈な金管楽器が評判だった。
確かに威力は凄いが、うるさいということは全くなかった。
一斉に鳴り響く金管は、音が真っ直ぐで、ちょうど体操選手が技をピタッときめて微動だにしないのに似ている。

ロングトーンの威力をこれほど感じたことはなかった。

アンコールで、スーザの「星条旗よ永遠なれ」を演奏したが、途中でショルティが「OKと言うような」合図をすると、金管群が一斉に浮き上がって聴こえた。

私は比較的前の方の席で聴いていたが、弦楽器群は全く聞こえなかった。
全く力んだ音ではなく、アンプのボリュームを一段上げたような感じだった。
やはり、全くうるささを感じさせなかった。

このころは、ショルティも全盛期だったと思う。

ショルティの独特の指揮は、鋭角的でアンサンブルの特徴として、縦の線がよく揃う。

ショルティ/シカゴのマーラーは、音楽ファンには人気があった。



このような、ショスタコーヴィチもショルティにはよく似合う。

syorutiSikago.jpg

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posted by dolce at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏評

2010年02月11日

アンセルメ/ロシア音楽コンサート

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anserme_rosia.jpgエルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
演奏:★★★★★
録音:★★★★★

録音の古さを全く感じさせない

アンセルメ/スイス・ロマンド/ロンドン・デッカ、この組み合わせは、私たちに残してくれた財産と言えよう。

最近は録音機もよくなり、アマチュアでもリアルな音を録音できるようになった。
しかし、[リアルな録音≠良い録音]と必ずしもならないところに、音楽的センスの必要性がある。

そういう意味では、録音現場のプロデューサーは指揮者と同等のレベルや力関係にあるとも言える。

このCDは録音が1954年〜1964年に渡っている。
もちろん、テープ録音の時代である。
にも関わらず、レンジの不足が感じられないし、音がきれいである。
ロンドン・デッカの技術陣の音楽的、技術的レベルの高さのたまものである。

このCDが909円で買えるとは、大変、お買い得感がある。
このように、安いCDでも良い物があるということは、一面よい時代と言えるのかも知れない。

=== 曲目 ===

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ボロディン
歌劇「イーゴリ公」より、ダッタンの娘たちの踊り/ダッタン人の踊り
交響詩「中央アジアの草原にて」

リムスキー・コルサコフ序曲「ロシアの復活祭」
歌劇「サルタン皇帝の物語」より、熊蜂の飛行

グリンカ
歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲

アナトーリ・リャードフ交響詩「ババ・ヤガー」
交響詩「キキモラ」

アレクサンドル・グラズノフ
交響詩「ステンカ・ラージン」
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posted by dolce at 16:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | レコード・CD

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