2012年10月24日

クラシックの魔法

clasic_mahou.jpg
西村朗氏はNHKのクラシック番組で解説をしていた人。

その彼の著書クラシックの魔法 スピリチュアル名曲論は実に明快で、ウンウンなるほどと思わせる本である。

クラシックフアンはもとより、クラシックを敬遠している人も、ぜひ読んでおくとよいと思う。

書き方が単刀直入で、もってまわったところがないので、もっとも核となるところ、著者の言いたいことがすぐにわかる。

これほど、明快に言えるのは、著者の学識、音楽経験、才能が高いからだと思う。

だからと言って、そのレベルの高さを誇示しているわけではない。

読んでいて、素直に受け入れられる。

私はクラシックを聴くことも多いし、演奏することも多いが、それはともすると他人からは「あいつはクラシックの人間」というレッテルを貼られやすい。

しかし、私としては全くそういう意識はない。

ジャズもポピュラーも歌謡曲も聴くし演奏することもある。

そういったクラシック以外の分野の演奏から学ぶところも多い。

しかし、音楽の土台はクラシックであり、その土台を作った人はヨハン・セバスチャン・バッハであるということは、音楽に携わってきて感じてきた。

mozart_cl5.jpg西村氏に、そのことを言われて、私も自信を持ってそう言えるのだと思った。

バッハは小川ではなく大河である

はBACHがドイツ語では小川の意味になることから、誰かが言ったのだろうが、うまく表現したものだ。

著書では始めに、モーツァルトのクラリネット五重奏曲 イ長調 K.581が登場するが、この曲のことを「完璧な曲というのはこういう曲のことを言うのだろう。無駄な音符がひとつもない」と言った人がいる。

著者は、モーツァルトが作曲したというより、神がモーツァルトを選んだというような表現をしている。

私はクラリネットを演奏するが、このような曲が存在するということは誠に幸せなことだと思う。

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2012年10月22日

音楽は世界共通の言語

「音楽は世界共通の言語」とは昔から言われていることです。

私は音楽活動を通じて、その言葉をなんとなくと言う感じで納得していました。

しかし、近年はその感じを強くしています。

言語といえば、日本語、英語、ドイツ語、中国語、・・・と話すことで人と人がコミュニケーションをとる言葉があります。

それらの言語を通じて、どれほど人との意思を伝えられることができるのかは、その人の言語能力に関わることです。

伝えようとする人の文章の作り方と、受け取る人の聞き取り能力や読解力に依存します。

音楽も同様、演奏する側と聴く側の能力に依存します。

私も演奏活動をしていますが、楽譜を見て演奏する時、文章を見て朗読するのと同じだと感じています。

俳優は台本をもらって、自分の役割の部分を読んで、それをどのように声に出したらいいのかを考えます。

これは、演奏で、楽譜を見てどのように音を出したらよいかと考えるのと同じだと思います。

だから、楽譜を見て、ただ音を並べているだけの演奏は楽譜に込められた意味を理解しないで、機械的に音に変えているだけということになります。

しかし、ただ音を並べているだけの演奏も巷には多いのは、残念なことです。

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posted by dolce at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽と生活

2012年10月16日

管楽器のメンテナンス

mentenasu_mokkan2.jpg以前、楽器のメンテナンスについて書いたが、ほとんどメンテナンスをやったことがない人もいるようだ。

ジワジワと楽器の調子は悪くなり、鳴らなくなる。

急に故障した場合は、演奏にすぐ支障をきたすのでわかるが、ジワジワというのは少しずつ悪くなっていくので気がつかない場合もある。

一応、音は出ているんだが響いていないという状態もある。

サクソフォンやオーボエなど円錐管楽器は、ほんのわずかな息漏れの影響も受けて鳴らなくなるが、クラリネットの場合、少しの漏れでも鳴ったりする。

ただし、楽器の本体の共鳴が悪いので、さえない音になる。

楽器の調子が常に完璧であることは大切なのだが、さえない音、音色が悪いということに鈍感では困る。

演奏者は音に対してデリケートでないことは、そもそも問題である。

楽器を時々、修理の専門家にみてもらうのがいいのだが、音が変だと感じ、楽器の不調がわかる感覚も必要だ。

大勢で演奏する吹奏楽などの場合、自分の楽器が不調でも、他の人が音を出していたりするので、よけいに楽器の状態はわかりにくい。

しかし、独奏となると、少しでも楽器の状態がよくないことは怖いことである。

そういう意味でも、いつも大勢の中だけでなく、独奏の機会もつくることをすすめたい。

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2012年10月11日

大きなスピーカーの魅力

大きなスピーカーの魅力は、多量の空気を動かすことができることです。

これが、低音再生に有利という理由になっています。

大きな口径のスピーカーから出る低音は、風圧を感じるようなスケールがあります。

しかし、実際は低音を再生していないのに、低音が出ていると錯覚している人もいるようです。

スーパーウーファーという低音専用のスピーカーがありますが、これは低音を増強するのではなく、再生帯域を低い方まで伸ばすものです。

だから、スーパーウーファーの帯域が、元からあるスピーカーの帯域と重ならないようにしなければいけないと思います。

そうしないと、中高音の邪魔をして、明瞭な音が再生できなくなります。

音楽で大切な音域は中音域に密集しています。

だから、中音域の音のいいスピーカーが音楽を再生するには大切と言えます。

音楽の再生で、50Hzぐらいより低い音を再生する必要がある場合はそんなにありません。

だから、ウーファーが鳴る時というのはそんなにないのです。

そして、ウーファーが中高音スピーカーにつながっていることで、邪魔をすることがあります。

ウーファーは自身が動くことによって、自身が発電をしているのです。

その電流が、中高音のスピーカーに影響を与えるわけです。

これを防ぐためにバイワイヤーという接続方法が使われますが、これはウーファーと中高音スピーカーの配線を別々にすることにより、ウーファーの電流を中高音スピーカーに流さないようにするわけです。

しかし、もっとよいのは、アンプを別々にするバイアンプです。

私はバイアンプにより、その効果の大きさを実感しました。

バイアンプでは、中高音は小さなアンプでよいという人がいますが、私が試した結果はよいとは言えませんでした。

どうしても、音色がチグハグになり繋がりがよくありません。

同じアンプを2台用意することをすすめます。

低音は低音専用にすることで、ウーファーも元気、中高音も元気という結果になりました。

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posted by dolce at 21:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

2012年10月08日

低音欠乏症からの脱皮

昔はボンボンとかドンドンという低音(?)に憧れていた時代がありました。

しかし、オーディオ歴が長くなるにつれ「なんだか変だぞ」という気持ちになってきました。

それは「実際、演奏でそんな音が出ているの?」という疑問が湧いてきたからです。

いくら低音が好きと言っても、実際に存在しない音が聴こえてくるのは邪魔なのです。

音楽を聴く上では、邪魔です。

つまり、オーディオへの関心とともに、音楽を聴く方向が強くなっていったのだと思います。

ある高級車を買った人が、カーオーディオに不満を抱いていました。

「低音が出ない」という不満でした。

その車のオーディオのブランドは「マーク・レビンソン」でした。

マーク・レビンソンの名前だけ車のメーカーが買ったのかも知れませんが、それでもその名前を入れるにあたっては、マーク・レビンソンが全く関与していないということはないでしょう。

そうすると、それは「ない音は出さない」という方向であると想像できます。

某高級オーディオ店で偶然、耳に入っていた話ですが、年の頃20代の男の人が、店員に「Accuphase・・・全然おもしろくない」と言っていました。

Accuphaseにおもしろさを期待するのは疑問です。

だって、Accuphaseは創業以来の会社のポリシーが、春日社長の言う「アンプは太い導線でなければいけない」なわけですから。

Accuphaseのアンプは何も足さない、何も引かないというアンプで、忠実に信号を増幅することを目標にしているわけですから、アンプを通すことにより何かおもしろい音が出てくると期待する方が間違っているでしょう。

Accuphaseに変えたら低音が出なくなったと嘆く人がいるかも知れません。

それに、今日の高級スピーカーをつないだら、ますます低音が出ないと感じるでしょうね。

■ウーファーの難しさ

純粋な低音を再生するのはかなり難しいことだと思います。

多くの人は低音でないものを低音と思って聴いているフシがあります。

例えば、コントラバスの音ですが、低音と言っても多くはその倍音や高調波を聴いているのだと想像されます。

だから、コントラバスを生々しく再生するにはスーパートゥイーターもあった方がよいのです。

四弦のコントラバスの最低音は40Hzです。

osiro2.jpgしかし、この音を弾いても40Hzの正弦波だけが聴こえるわけではありません。

オシロスコープを通して見るとわかりますが、基音である40Hzの正弦波に細かくギザギザに見える波形が含まれていることがわかります。(写真のオシロスコープは、フリー百科事典「ウィキペディア」より)

倍音と倍音ではない周波数の音が混じって、コントラバスの音色を作っているわけです。

40Hzの音はコントラバスの最低音であることからわかるように、大変低い音です。

このような低い音は振幅も大きいので、エネルギーが必要です。

アンプもパワーが必要だということですが、今日のアンプでは必要なパワーを出すことは難しいことではありません。

inpalusoutou2.gif問題は、その大きなエネルギーで揺れたスピーカーのコーンを止める時です。

大きな車体の車は動かすときにもエネルギーが必要ですが、止めようとする時は惰性でなかなかすぐには止められないのと同じです。

つまり、実際に音はないのに動いているのは、スピーカーでは余計な音を出していることになります。

右の図にその様子を表します。

入力信号は、瞬間的なものでも、一度揺れたコーンはなかなか止まりません。

大きなスピーカー(ウーファー)は、重いので惰性で動く分が多いのです。

それで、再生波形は下の図のようになってしまいます。

このことをもう少し詳しく説明したのが、下の図です。

otogabokerugenin.gif


オーディオは時代とともに、原音を忠実に再生しようという方向がより強くなり、録音にない音を出さないようになってきています。
(スピーカーを小型化しているのも、スピーカーの余計な振動を止めやすくするためとも言えます)

高級路線がそうであると言えます。

あの、箱を鳴らしていたタンノイでさえ方向は転換しています。

高級オーディオショーで紹介された、タンノイのTANNOY KINGDOM ROYALは新しい行き方のタンノイです。

しかし、オーディオ使って、体が揺れるような原音にはない低音を好む人を否定するものではありません。

それは、個人の好みですから。

気をつけることは、誰それがいいと言ったとしても、その好みに注意しないと、自分には合わないかも知れないということです。

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posted by dolce at 17:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

2012年10月07日

小型スピーカーの魅力

analogna.jpgスピーカーは大きい方がいいと思っている人がいるようですが、ソースに忠実に音を再生しようという方向なら、その考えは改めた方がいいと思います。

オーディオは、どのような音を聴きたいかでそろえる装置は違ってくると思いますが、録音された音源を色づけなく再生しようという方向でなく、装置に何か楽しいものを付加してもらおうと期待する人は大きなスピーカーとか、何か個性を発揮する装置を好むのかも知れません。

自分のことを振り返ってみると、昔は家にはラジオしかなかったものですから、ドーンという低音など聴いたことがありませんでした。

だから、大きなスピーカーから出てくる低音にしびれたものです。

しかし、自分も音楽に携わり、演奏もするようになってきてから、装置から出る余計な音が気になるようになってきました。

始めは低音欠乏症だったわけです。

オーディオに誤解を持っているひとがしばしばいます。

例えば、スピーカーのボックスは、スピーカーの振動を拡大して、豊かにするものだと思っている人もいます。

一度でも専門書を読んでみたら、それは自分の勝手な先入観だということがわかります。

スピーカーの口径(大きさ)にしても同じです。

大きくないと低音が出ないと思っている人がいます。

もちろん、大口径のスピーカーはそれなりの魅力はあると思いますが、音楽を忠実に再生しようと思うなら、大口径がいいとは言えません。

tangBandsp.jpgだから、メーカーの作るスピーカーは小さくなる傾向にあると思います。

なぜ小さくなるかというと、狭い部屋を考慮してというわけではありません。

音の出てくるところ(音源)は点音源が理想です。

つまり、1点から音が出てくるのがよいわけです。

そういうことから言えば、スピーカーは小さくなるほど点音源に近づくことになります。

私が最近よく使っているスピーカーは、使い出してから2年ぐらい経っただろうかと思いますが、8cmのフルレンジです。

これが、すごくいいのです。

音楽の細かい部分を鮮やかに再現します。

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posted by dolce at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

2012年10月03日

再び、ブラームス クラリネット三重奏曲

今日は、ブラームスのクラリネット三重奏曲をやりませんかという話があった。

前回は、正真正銘のぶっつけ本番だった。しかも初対面。

今回は、練習も念入りにするが、数回は練習をしたいですね。

私はA管の少し地味な音が好きで、A管を使った曲が好きです。

クラリネットを吹いている者として、この曲の演奏機会を与えていただけるのは光栄です。

ブラームス、最晩年の曲としてこの三重奏曲と五重奏曲があるが、五重奏曲の方が一般的には人気が高く、演奏回数も多いようだが、ブラームス自身は三重奏曲を気に入っていたらしい。



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posted by dolce at 22:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 指揮者

2012年10月02日

ブラームス 二重協奏曲

Brahams_Duble.jpg
音楽を観賞する力は音楽経験が多ければ、それだけ深くなるのだろうと思っている。

右の写真のCDは、オイストラフ、ロストロポーヴチ、セル/クリーブランドというすごいメンバーだ。

私はレコードで所有しているが、CDでの音は聴いたことがない。

私はヴァイオリンがベルリンフィルのコンマス・安永徹、チェロが同首席・ゲオルク・ファウストという豪華ゲストで演奏に参加させていただいたことがある。

自分も演奏者として参加すると、当然、楽譜は読む。

私はクラリネットだが、クラリネットの楽譜を読むだけでなく、指揮者のようにスコアも読んでおく。

管楽器奏者は指揮者と同じぐらいスコアを読んでおかなければいけない、と言われたことがある。

自分が経験すると、有名な奏者たちがいかに上手いかそれこそ身を持って体験する。

この曲の劇的な出だしは印象的である。

オーケストラの協奏に続いて、チェロの独奏が登場する。

ここのところがたまらない。

ブラームスはチェロにいいメロディーを書くので、チェロが好きだったのだろう。

そんなに長い曲ではないが、印象的な部分の多い曲である。

また、演奏に参加させていただきたい曲である。



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posted by dolce at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 名曲

2012年10月01日

ブラームス 交響曲第一番

この交響曲、冒頭のティンパニーが印象的で、それだけに他の楽器群とのバランスが気になる。

評論家による名演がいくつか取り上げられているが、私が一番好きなのは、カラヤン/ベルリンフィルの演奏だ。

Karayan_Brahms.jpgこれはレコード(CD)を通しての演奏評である。

コンサートホールへ行っても、席によりバランス残響が違うので、評価が難しい場合もある。

それが、録音の場合は、指揮者とエンジニアの考えで、どう聴こえて欲しいかというバランスがある。

そういう意味では、録音は指揮者、エンジニアの主張であるとも言える。

昔、N協の演奏を聴いたとき、冒頭のティンパニーを奏者は二本の撥を同時に打ちつけるという演奏をしていた。

楽譜にそういう指定があるのかと思って確認したが、指定はなかった。

もちろん、楽譜は原点版ではないので、ブラームス自身はどういう意図を持っていたのかわからない。

ティンパニー奏者は、特に楽譜に記載がない場合は、一つの音に対しては撥一本で叩く。

N協の演奏のときの指揮者は誰か忘れてしまったが、二本で叩くと言うのは奏者のアイデアか指揮者の支持なのかどうなんだろう?

いずれにしろ、私は二本で叩くほうが音の響きが好きである。

録音の仕方で、このティンパニーがオーケストラにかぶってしまうのはよくない。

そうかと言って、遠慮していてもつまらない。

ティンパニーがまるで運命の鼓動のように、オームストラ全体を土台から支えて、しかもストレスなく聴こえてくるのがよい。

それらのことを考慮すると、私のベストはカラヤン/ベルリンフィルになるのである。

この冒頭の鳴り方はすばらしい。



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posted by dolce at 21:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 指揮者

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