もちろん、それ以下の金額でもできないと言うことではないが、音楽を聴くジャンルを選ばず、ジャズでも、ロックでも、クラシックでも何でもそれなりに再生するという装置を目指すと、あるレベルのグレードは必要と思う。
だが、ここで注意することは、予算が多ければ何を選んでもよいということではない。
私の実際に経験したことだが、ある有名なオーディオメーカーのスピーカーはジャズを聴くとなかなかよい感じだった。
ところが、クラシック(交響曲)を聴くと、これがさっぱりだった。
まことに軽薄な音になってしまって、幻滅したことがある。
デザインは、自分の部屋に置きたいという気持ちをすごくそそられるものであった。
そういう、あるジャンルにとてもいいというスピーカーは、そういう音楽だけにマッチングして共鳴するというもので、実際の演奏を再現するという方向とは違うような気がする。
だから、このスピーカーで何々を聴くとすばらしいと評されるものは特有なクセがあるとみてよいと思う。
良いスピーカーはどんな入力にも耐えられるものである。
ジャズでもロックでもクラシックでも、良い録音、良い演奏はそれなりに再生する。
低音が足りないとか高音が足りないと感じると、トーンコントロールで補正しようと思うかも知れないが、私は全くトーンコントロールは使わない。
だから、トーンコントロールは回路をパスする設定にしてある。
補正しなければ聞けないような、CDやレコードはもともとよくないものだと考えている。
また、いちいちトーンコントロールで補正していると、自分の装置の基準もわからなくなる。
実は、私は低中高とそれぞれ専用アンプを用意し、スピーカーを鳴らしていたことがある。
一体、どのバランスが正常なのかということが次第にわからなくなっていったある日、アンプの一台が故障した。
それを機会に、アンプを一台に戻した。
何か平凡な音のような気がした。
それは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のレコードを聴いている時だった。
しばらく聴いているうちに、これが本当なのではないかと思うようになった。
いろいろやっているうちに、自分の耳が何かインパクトのある音を求めて、バランスを崩していたのだ。
そういう段階で、私のステレオを聴いていたお客さんの中には疑問を持つ人もいたのだろうと思った。
オーディオは他人の装置について、なかなか悪くは言えない世界だと思う。
そういう意味では、お世辞でなく、聴いてくれた人に率直に感想を言ってもらうようにすることが大切だと思う。









