
オネゲル:交響曲全集
セルジュ・ボド指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
オネゲルは高校生時代に、友人から借りたレコードで「機関車パシフィック231」を聴いたことがある。
以来、オネゲルと言えば「機関車パシフィック231」だけという思いがあったが、10年ほど前だろうか、コンサートで交響曲第2番を聴いたことがある。
その時、編成を見て驚いた。
何と、弦楽の他はトランペットが一本だけだったからである。
しかも、いつまでもそのトランペットの出番がない。
やっと3楽章(オネゲルの交響曲はいずれも3楽章形式)になって、奏者が起立して曲の終わりまで演奏したのを聴いた。
このほど、オネゲルの交響曲全集という2枚組のCDを見て、交響曲を5曲残していることを知った。
オネゲルは反ロマン派、反トビュッシーを掲げたフランス6人組の1人ということであるそうだが、他の5人とも一線を画していたという。
5曲の交響曲はいずれも3楽章構成だが、作風はずいぶん異なっている。
日頃、モーツァルト、ヴェートーベン、〜チャイコフスキー・・・といった音楽の教科書に出てくるような作曲家を聴いていると、新鮮な感じがする。
人は新しい音を求めるものであり、昔は問題になったストラヴィンスキーの「春の祭典」もこのごろでは特に変わった曲という人も少なくなったと思う。
そういう耳慣れをした人でまだオネゲルを聴いたことのない人は、一度聴いてみるとよいと思う。
オーディオ装置の発達で、マーラーがよく聴かれるようになったということだが、オネゲルの曲はそんなにダイナミックレンジを必要とする曲ではないが、装置のレベルはそこそこでないと汚く聞こえるかも知れない。
オネゲルの曲が決して汚いわけではない。
オネゲルは大編成で音が不透明になることを嫌ったらしく、交響曲といっても弦楽四重奏もしくは室内オーケストラといった規模の小さな弦楽編成に、時に管楽器、打楽器を加えるという編成で書いている。
もし歪みっぽく聞こえるようなら、装置の方を疑ってみるべきだろう。
