
モーツァルト:クラリネット協奏曲、ドビュッシー:クラリネットのための第1狂詩曲、武満徹:ファンタズマ/カントス
ザビーネ・マイヤーはカラヤンが存命中、ずいぶん気に入れられて、ベルリンンフィルに入団させたいといったので、カラヤンとベルリンフィルの仲が一時険悪な関係なったという話題が有名になった。
カラヤンに気に入られるほどだから、確かにクラリネット演奏にかけては超一流で、よい意味では女性と感じさせない演奏ぶりである。
だが、このCDは私の好みには合わない。
モーツァルトの協奏曲では、私に言わせれば余計な装飾が多い。
そして、やや走り気味のテンポ感も好みでない。
バセット・クラリネットを使っているというところは、特にどうということはない。
これも私の好みから言えば、普通のA管のクラリネットでもよいと思う。
ドビュッシーも達者な演奏だが、今ひとつ雰囲気が出ていない。
最近聴いたカール・ライスターの方がよかった。
マイヤーもライスターもエーラー式のクラリネットだが、ドビュッシーにはやはりベーム式の明るさの方が合っているかも知れない。
武満徹の方は演奏的には文句はないが、マイクがソロにやや近すぎで、もう少しオーケストラ響きに溶け込むように録音して欲しいと、やはり私好みの感想だ。
しかし、モーツァルトの協奏曲ではやや期待はずれのマイヤーであったが、同じくモーツァルトの五重奏曲となると、これはまことにすばらしい。
特に飾ることもなく素直に演奏しているところが、作品の良さを引き立てているという感じだ。

ある評論家が、モーツァルトのクラリネット協奏曲は作品がすばらしいので、演奏者はただ忠実に演奏すればよい(余計なことをするな)と言っていた。
五重奏曲の方は、また別な人が「完璧な曲とはこういう曲のことを言うのだろう。一音たりとも無駄な音がない」と言っていた。
そうだろう。余計な小細工をすると、作品をかえって汚すことになる。
ザビーネ・マイヤーはすばらしい奏者なのだから、特に何かをしようとせず、そのまま素直に演奏していただきたいと願う。

ところで、モーツァルト/クラリネット協奏曲は名曲であり録音も多いのだが、決定版となるとなかなか決めがたい。
私としての決定版は、やはりド・ペイエの演奏ということになる。










