2010年08月22日

音色に対する感性

昨年からDTM(DAW)を始めた。
それで、時々セミナーにも参加するようになった。
このセミナーなんだが、どうもこの世界はロック中心の人が多く、しかもエレキギターが大きな役割を占めているようである。
というのは、音楽制作(作曲)の手順としては、ドラムパターンを作りベースを入れて、時にはストリングスを入れ、次にギターソロをMIDで演奏して入力する。
最後に、ボーカルを入れるというパターンである。

最終的には編集してCD制作をするのだが、全体の過程を通して感じたことは、この世界の人たちの感じる「いい音」というのは、私のようにオーディオで主にクラシックを聴く者と感覚が違うのではないかと思った。

簡単にいえば、このようなロック系の人たちは「電気的な音の範疇を超えないで『いい音でしょう?』『こちらの音の方がいいでしょう?』」との言葉が出てくるが、聴いている私にとしては、アコースティックな音源までもが電気的な音、人工的な音に統一されてしまっていて、普段オーディオで聴くオーケストラや室内楽の音とは隔たりを感じるのである。

つまり、エレキギターが活躍するようなロック系の音楽の人と、アコースティックな楽器の録音を聴く者とは、そもそも「いい音」と感じる感じ方が違うように思うということです。

セミナーはメーカーから派遣された人が来るのだが、例えばY社ではDTM製品もオーディオ製品も扱っている。
そこで、講師に、オーディオ製品の音のことを聞いたら「部門が違うので全然わからない」と言われた。

DTM(DAW)は元来、電気的な、人工的な音だと思っている人もいるかも知れないが、そんなことはない。
アメリカ映画を観ているとバックで聴こえてくるオーケストラが、DTM(DAW)にも関わらず、本物と間違えることもあるぐらいレベルが高い。

これは、私の別のサイトに記述したものだが、音質についてもう少しつきつめて言うと、例えば、クラリネットはA管、B♭管を持ち替えて演奏することは多い。
これは、調性の問題もあるが、音質にこだわる面も大きい。

モーツァルトのクラリネット協奏曲(イ長調)や、同作曲家の五重奏曲(イ長調)をB♭管で演奏するとなると、どうも気分がのらない。

gakki.jpg
ブラームスの五重奏曲(ロ短調)にしてもそうだ。
ブラームスはさらにできれば、エーラー式かウィーンフィルのウィーンアカデミー式がいい。

クラリネットについて例を挙げたが、他の楽器でも同様である。
トランペットはB♭管かC管か、ホルンはFで吹くかB♭で吹くか、チューバもB♭、C、Fなどが使われる。

どれを使うかで音色が違ってくる。
それはバンド全体の音色にも関わる。

このような音色にこだわらないようなレベルの演奏、あるいは目指さないような演奏は感覚が鈍感という感じがして、私としては近寄りがたい。

オーディオも同様で、それらの楽器の音色が表現できないような装置はメインの装置としては落第である。

ギャルドを聴くと、日頃聴いている吹奏楽と音が違うなと感じる人は多いと思う。
それは上手い下手のもんだいではなく、ギャルドではトランペットはC管、トロンボーンもC管というところが全体の音色に変化を与えていると感じる。

吹奏楽は変ロ長調の楽器が多く、変ロ長調の曲またはその近親調が多いせいか、たくさん曲を聴いてもみんな同じような音色に聴こえてしまう。

B♭管楽器は変ロ調以外の曲を演奏しても、B♭管の倍音が出てしまうので、やっぱりB♭という感じを受ける。

だから、作曲家は持ち替えを指示していることも多く、マーラーの楽譜に、突如C管が出てくるのは、マーラー自身がC管の音色を指定したらしい。
その証拠に、マーラーは「ここは断固C管だ」と強調したことがあるという記録が残っているからだ。

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posted by dolce at 09:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 吹奏楽
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