2008年01月11日

クラリネットはなぜ楽器を持ち替えるのか?

「のだめカンタービレ」の人気で、クラシックフアンが増えたと聞きました。
それで、さらにオーケストラを聴く楽しみが少しでも増えたらと思って、雑学を投稿します。

Cla.gifオーケストラを聴いていると、クラリネットが演奏の途中で楽器を持ち替えている場合があります。

これは、楽譜に持ち替えの指示が書いてあるからです。
なぜ、そんな指示が書いてあるのかというと、オーケストラでは、吹奏楽で使っているB♭(変ロ長調)の管だけではなく、A(イ長調)の楽器も使うからです。

では、なぜわざわざそんなことをするのでしょうか?

その理由は、2つあります。

1.クラリネットは#の多い曲になると演奏が難しくなるため、#を少なくするため。

2.作曲家がそのクラリネットの音色を要求している。

B♭管とA管は半音だけ音の高さが違って、A管は管長がわずかに長くできています。
だから、離れてみると同じ楽器のように見えますが、違う楽器と持ち替えていることになります。

オーケストラの曲では、結構、持ち替える曲が多いので、クラリネット奏者はB♭とAとを2本ペアで、ケースに入れて持っています。

この2種類の楽器は音の高さが半音違うだけでなく、音色も違っています。
B♭管は明るい傾向に対して、A管は少し地味な音というか、音楽の解説書などには「牧歌的」と書いてあるものもあります。

通常はこの2種類でこと足りますが、実はたまにE♭管を必要とすることもあります。
これはかなり小さな楽器になりますので、遠くから見てもすぐわかります。
音色は鋭い音で、非常に目立ちます。

のだめカンタービレで、指揮者コンクールにリヒャルトシュトラウスの「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」が出てきましたが、この曲にもソロが出てきます。
ただ、リヒャルトシュトラウスはE♭管ではなくD管で書いています。

D管を必要とする曲は、おそらくこの曲だけでしょう。
だから、たいていの場合はE♭管で演奏しています。

スメタナの有名な曲「モルダウ」でははじめにC管で書かれています。
そしてA管もB♭管も必要とします。

作曲家によっては、B♭管A管の区別をせず、楽譜をinCで書く人もいますが、これは奏者にお任せということです。

しかし、Cで書いてあるから、いつもお任せとは限らず、作曲家がC管のクラリネットを要求している場合もあります。

C管を要求する作曲家で有名な人に、マーラーがいます。
マーラーの曲は途中で数小節だけCで書かれている場合がありますが、これをB♭管で演奏してはいけない(断固C管を要求した)と言ったそうです。
C管の場合はB♭かんよりより目立つ音になります。

というわけで、クラリネット奏者は、すべての要求に応えるためには、A、B♭、C、D、E♭と持たなければなりません。

それにバスクラリネットまでそろえるとなると6本必要ということですね。

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posted by dolce at 21:45 | Comment(6) | TrackBack(0) | クラリネット
この記事へのコメント
C管欲しいです、どこのをお持ちですか?
有ったらべんりだと思いますねー、他の楽器と色々合奏するのに読み替えなくて良いし・・・
Posted by ビックリマスダ at 2008年01月12日 17:03
C管は所有しておりません。
マーラーのC管指定もB♭かんで間に合わせています。
今のところ、クレームをつける指揮者はいません。

もし、買うならクランポンを買います。
Posted by 筆者 at 2008年01月13日 20:05
ベートーヴェンだとC管で書いてと思うのですが?
もともとC管使ってたのかなー?
Posted by ビックリマスダ at 2008年01月15日 08:51
ベートーヴェンでは交響曲第1番を演奏したとき、inCで楽譜が書いてあることを知りました。

その時の指揮者は秋山和慶さんでしたが、特にC管でとは言われませんでした。
Posted by 筆者 at 2008年01月17日 00:30
今はB管で演奏しますけど、当時C管使ったのか、作曲の都合でinCで書かれたのかが知りたかったのですよね・・・
Posted by ビックリマスダ at 2008年01月18日 10:55
D管はマーラー5番、レスピーギローマの祭り、春の祭典等にもでてきますね。
Posted by at 2017年05月25日 23:49
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