
チューバという楽器は、金管楽器の最低音を受け持ち、縁の下の力持ちでもあるが、この楽器の可能性を驚くほど感じさせてくれた奏者がいる。
それは、ジョン・フレッチャーというロンドン交響楽団の首席奏者を務めた人だ。
ジョン・フレッチャー(John Fletcher, 1941年5月19日 - 1987年10月)は、イギリスのテューバ奏者である。テューバの世界的ソリストで、ヴォーン・ウィリアムズの協奏曲の名演奏者として知られた。イングランド北部リーズの出身で、ケンブリッジ大学にて自然科学を専攻し、卒業後の1964年にBBC交響楽団に入団した。その後、トランペット奏者のフィリップ・ジョーンズらと共にフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブル(PJBE)で活躍し、またロンドン交響楽団では首席テューバ奏者を務めた。1986年6月のPJBEの解散の後、他の若手団員らと共にロンドン・ブラスを結成するも、1987年10月に急逝した。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
彼の音域はホルンの領域まで及び、チューバという楽器はこんなにいい音がするのだと再認識させてくれた。
彼の演奏を聴いてからは、オーケストラやアンサンブル、吹奏楽を聴くときもチューバの音色に注意するようになった。
ムスルグスキー〜ラベル編曲の組曲・展覧会の絵ではビードロ(牛車)はチューバのソロで書かれているが多くはユーフォニウムで演奏される。
それは、チューバでは難しいという理由と想像するが、私はまだチューバでのソロでは聴いたことがない。
一度、チューバで聴いてみたものだ。

だが、ヴォーン・ウィリアムズのバス・テューバ協奏曲 ヘ短調で録音を残しているので、これは彼の貴重な遺産とも言える。
バス・チューバと管弦楽のための協奏曲(Concerto for bass tuba and orchestra )は、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズが1954年に作曲した作品で、チューバのための協奏曲としては最もよく演奏される作品である。ロンドン交響楽団の創立50周年祝賀コンサートのための委嘱作で、このオーケストラに献呈されている。初演は1954年6月13日、当時の首席チューバ奏者フィリップ・カテリネット(Philip Catelinet)の独奏、ジョン・バルビローリの指揮で、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおいて行われた。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第2楽章はチューバとピアノ用にも編曲されているが、これはユーフォニアム、ファゴットあるいはチェロとピアノでも演奏可能としている。
古典的な3楽章の構成であるが、全曲で約12分と短く、またソナタ形式の楽章がない。
第1楽章 アレグロ・モデラート
ヘ短調、4分の2拍子。三部形式。この楽章の旋律は全て五音音階によっている。
第2楽章 ロマンツァ アンダンテ・ソステヌート
ニ長調、4分の3拍子。三部形式であるが、中間部は最初の部分の変奏になっており、対立的な要素はない。
第3楽章 ロンド・アラ・テデスカ アレグロ
4分の3拍子。「ドイツ風ロンド」の副題通りロンド形式をとっている。
