2009年01月23日

いい音を楽しむオーディオの事典

audio_jiten.gif


事典というよりは雑誌に近い感じだが、現在のオーディオがどうなっているのか知りたい人には好適な本である。

この本を買った人の書評に、オーディオ初心者向けの本なのに、紹介されている機器が高額で初心者向けとは言えないとあるが、




オーディオを楽しむために予算はどれくらい必要か?

というところで、具体的な組み合わせ例として

CDプレーヤー  35,000円(マランツ CD-5003)
プリメインアンプ 45,150円(デノン PMA-390AE)
スピーカー    50,400円(モニターオーディオ Bronz BR2)
合計       130,550円

と具体的に例示してある。
この130,550円が高額で初心者向けとは言えないというのなら、オーディオに対する金銭感覚を改めた方がよいと思う。

CDを再生できて、一応、音楽が聞ける程度でよいならチューナー、アンプ、CDプレーヤー一体型の1万円そこそこのものでもよい。
しかし、

スピーカーにジャズ向き、クラシック向きはあるのか?

というところで、
本当に良いスピーカーはジャンルを選ばない
とある。

私もそう思う。
スピーカーのみに限らず、装置全体にも言えることだ。
また、

ベートーヴェンの交響曲第九番を聴いてみればよい

とあるが、これを聴いてみれば音楽に必要な音源の要素がほとんど揃っていると説明してある。

なるほど、この4人の声楽、合唱、オーケストラと大編成の曲をバランスよく再生できる装置はクラシックを聴く基準にはなるだろう。

著者、上田高志氏の個性的な選択はあるものの、紹介してある機器は数百万の商品まであり、オーディオの世界を知らない人には驚きかも知れないが、これは、かえってこの世界を知るのによい情報だと思う。
初心者向けと称して、低レベルに限った紹介の本より、かえって好感が持てる。

金にあかして、高額な商品で揃えたら良い音(好みの音)になるかと言ったら、そうでもないというところがオーディオの世界でもある。

そこで、13万程度の予算でも組み合わせはできるが、著者が最低このくらいは投資してくださいねという組み合わせとして、

CDプレーヤー  69,300円(CEC CD-3800)
プリメインアンプ 94,500円(マランツ PM8003)
スピーカー   123,900円(QUAD 11L2)
合計  287,700円

アナログプレーヤー45,150円(デノン DP-300F)
プリメインアンプ 136,500円(トライオード TRV-88SE)
スピーカー    116,550円(KEF iQ50)
合計   298,200円

の二種が紹介してある。
これは良心的な説明であると思う。

これから、音楽を楽しむためにオーディオを揃えようと思う人は、これを参考にすれば間違いないだろう。

個人の場合、多くの人はバランスよく機器を試す環境にないし、人格と同じで、その人特有な好みを人に押しつける場合があるので注意したい。

また、著者は、

一般に真空管は「暖かくてまろやかな音」、トランジスターは「スピード感があってシャープな音」などと評しているのは過去のことと言っている。

私の家のアンプはトランジスターだが、聴いた人はみな「耳障りでなく、長く聴いても疲れない音ですね」と言う。・・・特に聴きやすい音、疲れない音をねらったわけではなく、音楽を素直に聴きたいと思ってやってきた結果そうなっただけである。


ただ、リスニングルーム訪問ではお金のある人が揃えた装置が紹介してある。
しかし、音の評価はしていないところに注意をしよう。

ややもすると、豪華な装置が並んでいる人のものを評価するとき、評論家でもない人が悪く言うと(例えば私)、やっかみととられかねないが、この本に紹介されているお宅の装置から出る音を想像すると、私はあまり好意的に感じられない。
もう少し突っ込んで言えば、あるジャンル(音源)だけに合った音がするのだろうということである。

だから、自分が聴いて、よくわからないうちは大切なお金をやたらに投入しないことが肝心と思うのである。
見栄を張ると裸の王様になりかねない。
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2009年01月21日

真空管アンプに小型スピーカーは問題が多い

いわゆるブックシェルフ型と言われる小型スピーカーの多くは能率が低い。

これは、小さいエンクロージャー(スピーカーボックス)でも低音を出そうと考えられたもので、能率を犠牲にする代わりに、大入力で駆動して低音を出そうと考えられている。

だから、これら小型のスピーカーの能率は大半が80dB台である。
こういうスピーカーを十分鳴らすにはパワーの大きなアンプが必要である。

大きな音で聴くわけではないから、パワーは必要ないという考えは誤っている。

スピーカーが鳴るというのは、大きな音が出るという意味ではなく、低音から高音までバランスよく鳴るという意味である。

安定感があって、十分に制動が効いていないと、ヴァイオリンやクラシックギターの独奏も美しくないし、どんな楽器で弾いても同じような音になってしまう。

良いオーディオ装置は、始め、つまらないと感じることが多いような気もする。
逆に、一目惚れするような音を出す装置は要注意である。

特徴のある音を出していて、はじめそこに惹かれていても、そのうちにそういう音が鼻につくようになってくるものである。

こう書いてくると、何だか人にも当てはまるのではないかと思ってしまう。

一見、平凡な人が実はすごくよくて、何かアピールしている人は長くつき合うには問題があるのかも知れない。
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2009年01月18日

それでも真空管が好きなら

スピーカーは能率の良いものを選ぶ

真空管アンプは見ていて楽しいという面もある。
電気機器はトランジスタやICを使うことで、見て楽しいという面がなくなってきた。

CDプレーヤーもそうだ。
アナログレコードのプレーヤーも、外観や操作性に惹かれるところがある。

オーディオの装置は「音を聴く」という道具であるが、あまりにも外観に無頓着なのもいただけない気がする。
もちろん、これは私の個人的な感情である。

人によっては、外観にはほとんどこだわらない人もいるようだが、あまりにもひどいと寄りつきがたい気さえする。

ところで、真空管アンプは性能云々は別にして、その存在自体が魅力的なところもある。
それで、どうしても真空管アンプを使いたいなら、スピーカーはなるべく高能率のものを使うことを薦めたい。

真空管アンプのパワーが1.5Wで、スピーカーの能率が87dBというセットを売っているところがあったが、私だったら知人や友人には薦めない。
Vector6sp.jpg私が今使っている左のスピーカーは能率が92.5dBである。高さが115cmなので一般家庭に持ち込むと存在感がある。
一方、87dBというスピーカーはブックシェルフ型でA4の用紙ぐらいの大きさである。
こういう小さいスピーカーを見ると、基礎的な知識を持ち合わせていない人は、アンプもパワーの小さい小型なのものでよいと考えるようだが、スピーカーの能率の87dBと92.5dBでは相当に大きな違いがある。

その差5.5dBだが、これは計算に対数を用いているので、スピーカーの能率が3dB違うということは、同じ大きさの音を出すのにアンプのパワーでは2倍の違いがある。

具体的には、90dBのスピーカーに10Wのパワーのアンプを使っているとすれば、87dBのスピーカーでは同じ大きさの音を出すためには20Wのアンプが必要ということである。

5.5dBの違いは、概略の計算のためにこれを6dBの差と考えてみると、

6dB=3dB+3dB=2×2=4(倍)

となって、アンプのパワーの差では4倍になる。

私のアンプではトータル640Wのパワーだから、6dB能率の低いスピーカーとの差では640W×4=2560Wのアンプと同等ということになる。

アンプのパワーの違いは、予算に大きく影響してくる。
だから、オーディオの選択にはスピーカーを意識すべきである。

fe208es.gif左のスピーカーはFOSTEXが300個限定で発売したFE208ESである。

このスピーカーの能率は、なんと99dBである。
87dBとでは12dBの違いがある。

12dB=3dB+3dB+3dB+3dB=2×2×2×2=16(倍)

ということで、このスピーカーを使えば、1.5Wのパワーの真空管アンプでも24W分の働きをする。

EAR-859なら、14Wなので224Wのアンプを使ったのと同等になる。

実際、このスピーカーをFOSTEX指定のエンクロージャー(スピーカーボックス)に入れて、EAR-859で鳴らしたところ、なかなか豊かな音で鳴った。

fe208es_kansei2.jpg
FE208ESを指定箱に入れるとこうなる。スピーカーが一つというのは、低音から高音まで繋がりが自然でいい。とにかく能率がいいので、出力の小さい真空管アンプにも向いている。しかし、私は最近真空管アンプは敬遠気味です。見ていて楽しいのですが、低域の伸びと高域の伸びに物足りなさを感じる。音がバチッと決まらない。たとえばテインパニなど打楽器の打撃音にどうしてもよけいな余韻がつくような気がする。いや、打楽器に限らずクラシックギターでも弦をはじく音に余韻がつくような気がする。もっとも、それが好みだという人にはいいだろう。私がよい真空管アンプに出会っていないのかも知れない。さて、写真でわかるように、スピーカーの取り付けに真鍮のリングがついているが、つけなければいけないものではないが、この方が音がよいというのでつけてある。なかなか贅沢なリングなので、値段もなかなかのものであった。写真の箱はバックロードホーンという形式だが、この形式についても一悶着いう人がいるが、私が聴いた感じではすごくよかった。ホールの残響が自然に聴こえる。

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2009年01月15日

オーディオは楽器か?

vector6_2.jpgもうずいぶん昔のことになるが、今思うとオーディオ全盛時代だったと思う。某オーディオ店に突然、JBL4343というスピーカーが現れ、スレッショルドという重量級のアンプで鳴らすのを聴いた。
ソースはジャズレコードだった。
ドラム、トランペット、ピアノといった楽器の中に響くウッドベースのピチカートの心地よさに気分をよくした。

欲しいと思ったが、値段を見ると当時の私の収入では手が出なかった。

しかし、ソースがジャズからクラシックに変わった。
オーケストラだった。

驚いたのは、これが、まるでスピーカーが別物になったように軽薄な音を出し始めた。
大編成の、分厚い音のするはずのオーケストラが軽いのだ。

大口径のウーファーがあるにもあるのにベカベカという軽い音しかしない。

ソースをクラシックにしたところで、他の条件を換えたわけではない。

その時、私はすっかり興ざめしてしまったことを覚えている。

このスピーカーは人気だったが、ジャズやロックを音源にしている人たちの評判がいいのではないかと思った。

このように、特定の音源に対して好ましい音を出すスピーカーあるいはアンプなどオーディオ装置全体を考えると、オーディオは楽器なのか?という考えが起きる。

私の目指している理想のオーディオはオーディオ装置自体が自己主張しないものである。

ジャンルを選ばず、オールラウンドに破綻なく再生してくれる装置である。

しかし、そういう装置は難しく、なんらかの素材の音がする。
だから、その素材の臭いのようなものをできるだけ少なくするように追い込んでいくわけだが、それでもごく少ない素材の臭いが不快になる場合がある。

食べ物であれば、食事をしている時に食器に洗剤の臭いが残っているのはわずかであっても不快である。
それが、レモンの臭いだったら許されるかも知れない。

生臭の嫌いな人にとっては、魚臭さが残っているのもよくないだろう。

日本のオーディオは品質、性能ともに抜群なのにもう一つというところが及ばないという議論になるとき、それはかなりの高級品でも我慢できない臭い(音)が残るということではないかと思う。

海外の製品には、その点、癖はあるのだが不快ではないという作りをするうまさがあると思うこともしばしばである。

真空管アンプもこれから、以上私が述べた好ましい製品が登場すれば認めることにしたい。
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2009年01月10日

真空管アンプは音が良いか?(8)

「音が良いか?」というのは曖昧な表現である。

良いと思うかどうかは個人によって違うからである。
だから良いか悪いかより好きか嫌いかと言った方がよいと思う。

そうすると、真空管の音が良いという人は、真空管の音が好きだということになる

では、真空管の音とはどんな音なのか?

そういう観点でみると、たいていは、真空管のアンプについての批評はマイルドなとか暖かみのあるという表現が出てくる。

真空管の音は本当にマイルドで暖かいのだろうか?
逆にトランジスタの音はマイルドでなく、暖かくないのだろうか?

いや、トランジスタアンプでマイルドで暖かみのある、つまり真空管の音という先入観を持った音を出すことは可能である。

それは、以前にも書いたが、トランジスタアンプにも出力トランスをつければよい。
もちろん、真空管特有の音はある。

例えば、今でも6BQ5という真空管はよく使われるようだが、私はこの真空管を昔よく使った。
6BQ5のプッシュで、あの有名なスピーカー、ダイヤトーンのP-610を鳴らした時は感動した。

しかし、そのころ東芝が独自に6BQ5によく似た6R-P15という真空管を発売した。
6BQ5とは少し電気的特性が異なっていた。
私はこの6R-P15の音の方がデリケートに感じて好きだった。

真空管はアンプはその性能のほとんどが出力トランスに影響されるものの、アンプ全体のキャラクターには真空管個々の個性は表れる。

昔も、真空管アンプの自作が流行ったが、トランスは山水やLUXが自作マニアにとって憧れで、懐に余裕のある人はそれらを使った。

今日では、真空管アンプとトランジスタアンプの比較論はあまり意味がないと思っている。
それは、比較する土俵が違いすぎるからである。

もちろんこの話は、グレードの高いアンプでの話である。

真空管アンプが論じられるとき、そのパワーは数ワットからせいぜい50ワットどまりぐらいである。
真空管アンプで50Wというと、私は6GB8という真空管を思い出すが、この真空管は昔、学校の校内放送用によく使われていた。
パワーが出るということで使われていたのだが、音質そのものは観賞用には向いていない(と私は思う)。

211Aという真空管はプレート電圧を1000Vぐらいかける大がかりなもので、真空管の好きな人は使った人がいるようである。
かなりおおがかりになり、ヒーターのあかりで新聞が読めると聞いた。
しかし、ここまでやろうとすると、一般家庭ではあまり実用的とは言えない。
問題はやはり出力トランスである。
とてつもないトランスを使うことになる。

最近、6BQ5を使ったアンプを売り出している会社を見たが、パワーは1.5Wで、セットでスピーカーもつけて売ろうとしている広告もあった。
いくら、ドライブ能力はパワーだけではないと言っても、1.5Wで87dBのスピーカーを鳴らすという構想そのものが、いかにも箱庭的であり、部屋の空間を使ってゆったりとオーケストラを聴くという様にはなり得ないと思う。

学習机の上において、近い距離で聴くという感じならいいかも知れない。
それは、イヤースピーカーという感覚に近い。

真空管アンプを作っていたマニアもなんとか出力トランスの影響を廃したいと考え、OTLアンプに挑戦した記事が雑誌に紹介されていたことがある。

今日、数ワット程度のトランジスタアンプはそのほとんどが低価格路線の製品であり、同程度のパワーの真空管アンプとの比較では、真空管アンプ対トランジスタアンプという構図にはなり得ない。

私が実際試聴した感じでは真空管アンプは低域、高域が伸びきっていなくて苦しい。
トランスの特性の限界が現れているように思う。
周波数特性は概してかまぼこ型であり、こういうかまぼこ型の音が好きな人はいるようである。

グレードの高いトランジスタアンプは低域、高域ともストレスなく伸びきっている。
音源(ソース)そのものの素材をダイレクトに現す。
硬い音は硬く、柔らかい音は柔らかくである。

今日のトランジスタアンプでは2000W(1Ω)というパワーを出すものもあるが、これはAccuphaseのM-8000で亡くなった先代の春日社長は「静かな音を聴きたいから開発した」と言ってみえた。

オーディオ用の大出力アンプは、大音量で聴きたいというのではなく、静かに音楽を聴きたいからというのが、多くの経験をしてきた人の考えだと思う。

私もいつかこのAccuphaseのパワーアンプを使ってみたいと思うが、昨年640W(8Ω)のパワーアンプに換えたところ、ヴァイオリンなどの弦楽器の音がきれいになった。

特にアナログのレコードを再生した時、それまでとげとげしくささくれだった音に聞こえていたのが、きれいになったというより、その楽音でない弦をこするような雑音も忠実に余裕をもって再生することにより、耳障りでなくなったというのが実感である。

つまり、非常にするどいパルス状の信号により、アンプに余裕がないと、再生できないために他の音を汚してしまうような気がした。
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2009年01月08日

真空管アンプは音が良いか?(7)

EAR859_1.jpg左のアンプはEAR-859、特別に開発された真空管を使い、話題になったアンプである。
トランスも職人が一つずつコイルを巻いて作っていると聞いた。
気になる値段は¥448,000。

この値段が高いか安いかは、個人の関心によって違うだろうが、一般の家電品の値段と比べるとかなり高いだろう。

興味を持った一家の主が買おうとしても、奥さんの理解が得られないかも知れない。
一般サラリーマンの年収が500万ぐらいとすると、その1割近い金額は家計を考えると非常識かも知れない。

筆者はかねがね思っていることに、洗濯から乾燥まで一気にやってくれるドラム式洗濯機があったらどんなに便利だろうと思い、いつか欲しいと思っている。

家電店の展示を見て歩くと、25万ぐらい用意すれば買えると思うのだが、これが高いと感じてしまう。
ところが、EAR-859の¥448,000はそんなことを考えずすぐに買ってしまった。
生活のバランス感覚が狂っていると言われても仕方がないかも知れない。

本題から大分はずれたが、このEAR-859はオークションで売ってしまった。
すぐに売れたところをみると、フアンは多いのだろうと思った。

パラピッチーニの設計とか、先ほどの新開発真空管とか、トランスとかの雑音(?)に惑わされた感もなくはない。

実際に手にしてみると、物量を投入しているところから、価格競争で優位に立とうとした製品ではないこともわかる。
13W×2という出力は、率直に言って小さいと感じる。

だが、真空管アンプの話となると、真空管アンプは小出力でもドライブ能力が高いという話が必ずというぐらい出てくる。

もちろん、ドライブ能力さえあれば数字はどうでもよい。
やたらに馬力の数値だけは高いが、運転してみると実感がないという車もよくないのと似ている。

結論、売ってしまったのはドライブ能力に不満があったからである。
ドライブ能力だけでなく、音質も試してみた。
先入観として、これで高音を再生したらきっときれいだろうなと思っていた。
それで、私のスピーカーはトライワイヤー接続ができるので、高音にこのアンプを持っていった。

中音、低音にはそれぞれ150W×2のトランジスタアンプを使った。

つまり、アンプ3台でドライブしたわけである。
これは、当初、EAR-859だけで試みたが、とてもスピーカーを鳴らしきっているとは感じられなかったからである。

さすが、アンプ3台でのドライブは余裕があった。
ところが、高音がどうしてもきつくなる。
それで、このスピーカーの個性と思ってあきらめていた。

ある日、実験のつもりで、中音域の150W×2のトランジスタアンプと高音域のEAR-859(13W×2)と入れ替えてみたところ、驚いたことに高音がすごくきれいになった。
その上、スピード感が出るようになった。

何台ものアンプを使ってドライブするとき、高音域にはパワーは必要ない、それより高音のきれいなアンプを使うべきとある。
具体的には、高音域は数ワットもあればよいとされている。

しかし、実際に試してみると、アンプの持つパワーは数値だけではわからないドライブ能力を持っていると感じた。
非力なアンプでは高音が汚くなる(音が暴れた感じになる)し、スピード感がない。
不思議なのは、周波数特性を見ると、20KHzを遙かに超えているのに、高音はストレスを感じ窮屈に聞こえる。

結果的に今の装置で浮気は起こらず落ち着いているのだが、最新のアンプを売り払って、いにしえの名器VICTORのM-L10victor_ml10_2.jpgを2台手に入れて中高音用と低音用に分けてバイアンプでドライブすることになった。

PL-10はVICTORのオーディオが一番元気な時に作られた最後の製品で、中をあけてパーツを見ると、VICTORが力を入れた様子がわかる。

VICTORに限らず、この頃のいわゆるオーディオのバブル期には各社の力作があり、その力を発揮させれば現在でも十分ハイクオリティな音を楽しむことができる。
現在でもというより、この頃オーディオは頂点に達したと言ってよいと思う。

だから、あえて、このころの重量級のアンプの中古を買い使っている人もいる。
決して、安くあげたいからではない。
問題は修理体制である。
メーカーに依頼しても、部品がないと言って断られることがほとんどである。
AMP修理センターとかAMP修理工房では、メーカーに修理不能と言われたものでも、オーバーホールや修理を引き受けてくれる。
部品がない場合は代替部品などを使ったり加工したりして、元の性能に復帰させてくれる。
10万円以上かけてここへ依頼している人もいる。

私の使っているM-L10は3台入手して相互に部品を融通して2台にしたものである。
パワーは160W×2で、フラグシップのアンプとしては驚く数値でもない。
だが、アンプのドライブ能力はパワーの数値だけではないということは、現在お休みしているプリメインで、やはりパワーは同等ぐらい出るものと換えてみると、みすぼらしい音になることからはっきりわかる。

違いは何か?

両者を比較して一目瞭然は電源部である。
空けてみると、M-L10は大半がトランスである。
そのトランスを囲むようにして大容量のブロックコンデンサーが囲んでいる。
トランスだけで15Kgありアンプの総重量は30Kgぐらい。

電源が70%ぐらいアンプの性能を支配するというのが、この頃のVICTORの開発部の文献にある。

VICTORに限らず、このころ競った製品としてはDENON、ONKYO、EXCLUSIVE、LO-D、YAMAHA、ACCUPHASE、SONY、SANSUI、Technics、KENWOOD、LUX、Aurex、などなどの製品に修理代を投入してもそれだけの価値があるものも多い。

これらはオーディオ懐古録というサイトが参考になる。
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posted by dolce at 23:12 | Comment(2) | TrackBack(0) | オーディオ

2008年10月01日

真空管は商売がしやすい

EAR859_1.jpg写真と本文は関係ありません

真空管アンプのメーカーは作りやすいという意味である。
それは、トランジスタアンプに比べて、特にパワーアンプでは回路がシンプルで作りやすいからである。

だから、真空管アンプのメーカーは四畳半メーカーのようなところも多い。
趣味が昂じて、商売をやってみるかということで始めた人もいるだろう。
まあ、私でもその気になればできるかなと思う。
でも、商売となると買い換えをしてもらわなければならないので、お客さんを魔法にかける術が必要かも知れない。

シャーシーやトランスのカバーなどは、豪華な感じにする。
性能はもちろん大切だが、見た目も大切である。

トランジスタアンプでメーカーを立ち上げようとしたら、それは大変である。
回路の複雑さが理解できるどうかではなく、半導体の場合、部品のバラツキが多いので、部品を検査する設備が必須である。

そういう設備を整えたところで、たくさんの部品のストックをかかえて、それらの中から選別するという作業が伴うのはもちろん、ストックを抱える資金的余力も必要である。

私は真空管アンプを嫌っているわけではない。
見た目に楽しいし、真空管アンプの音は性能云々ではなく鳴らしてみたいと思うことがある。

真空管アンプは存在感がある。
だから、真空管アンプは洋服店のショーウインドウの飾りで売れたという話も聞いたことがある。

しかし、HIFI(高忠実度)となると話は違ってくる。

「音がいい」という言葉は抽象的で、真空管のアンプは音がいいと言っている人の中には、真空管の音が好きだと言っている人が多いのではないかと思う。
(そういう人に、優れたトランジスタアンプを聴かせてみて何というか興味のあるところだが)

歪みの話になると、前にも述べたとおり、いかなる歪みも聞こえないレベルでなければならない。
歪みの質を云々するのは、ギターアンプなどの、アンプの歪みを積極的に利用するアンプの場合である。
これらのアンプの場合は、アンプの歪みがギターの音色そのものであり、積極的に聞こえる歪みが出るアンプが必要で、真空管アンプの歪みが好ましいのであればそれを利用する意味がある。

これをHIFI用のオーディオアンプと混同して述べてはならない。

真空管アンプに限らず、最近は宗教的とさえ思われる怪しい商売、つまりそれらは決まって高額なので、貧乏人の私は裸の王様にならないように気をつけなければならない。

いくつかオーディオの雑誌を見ると、実にいろいろなオーディオ機器やアクセサリーが紹介されているが、音を文章に表すのは難しいと思うのだが、評論家諸氏は実にいろいろな表現を巧みに用いて書いていて、オーディオ評論家は文学者だなあと感心してしまう。

いつか言葉が枯渇してしまうのではないかと思うのだが、同じような表現を使い回して考えて使っているのか、良く続くなあと感心してしまう。
だから、最近は、オーディオ評論家がいかに巧みな表現をするかということにも興味を持っている。

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2008年09月29日

真空管アンプは音が良いか?(6)

真空管アンプにしろ、トランジスタアンプにしろ歪みを問題にするとき、それが奇数であろうが偶数であろうが関係ないというのが私の考えです。

偶数次の高調波が耳に心地よいなどと言っている人がいるようですが、歪み自体が聞こえるようではダメです。

アンプは歪み発生器であってはいけません。

人の耳は奇数次の高調波歪に対しては敏感だそうですが、私は実際実験したことがありませんから、わかりません。
まあ、そうだとしても、アンプはその敏感な歪に対して耳に関知できないほど小さくなければなりません。

そういう意味では、真空管だからとかトランジスタだからという発想自体が奇異に感じます。
どちらも、検知できないレベルのアンプであれば良いのです。

このような意味のことは前にも触れましたが、私がもう一つ言いたいことは、偶数次の倍音だから耳障りではないとは言えないということです。

これは、アンサンブルを経験している人ならわかるはずです。
偶数次の倍音から成る二つの発音体を同時に振動させたとき、とても耳障りな音がする時があります。

それは、俗にピッチが合っていない状態の時です。

この状態は、アンサンブルの上手でない団体の演奏で聞かれます。

真空管アンプとトランジスタアンプを比べたとき、パワーアンプで満足する真空管アンプに出会ったことがありません。

パワーアンプでというのは、現在のスピーカーをドライブするのに十分な力を持ったアンプを、私が知らないということです。

だから、ヘッドフォンアンプなどのあまりパワーを必要としないものでは満足できます。
具体的にはスタックスのコンデンサーヘッドフォンとその真空管アンプの組み合わせです。
ただ、今ではこの組み合わせでも、真空管アンプの方が有利だとは言い切れません。
トランジスタアンプでも満足できるレベルにあります。

つまり、ここでも真空管だからという素子の問題は関係ありません。

十分に現代的なスピーカーをドライブするという点では、よい真空管アンプを知らないですが、コントロールアンプに於いては真空管アンプの有利さを感じることがあります。

それは、入力インピーダンスの高さです。

アンプは入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスは低いというものが良いのです。

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2008年09月29日

中学生のころ作ったアンプ

6bq5Amp2.jpg中学生のころ作ったアンプの写真が出てきました。
一応ステレオアンプです。

電源トランスはメーカー不明です。
Outputトランスは山水を使っています。

今思うと、ずいぶんシンプルなアンプだと思います。



6bq5AmpUra2.jpg内部の配線の写真もありました。

写真がカラーではないので、細かくはわかりませんが、きれいな配線とは言えないまでも中学生としては、まあまあではないかと思います。
(自画自賛ですね)

ところで、どんなアンプだったのかもっと知りたくなりました。


探してみたら、貴重なメモが見つかりました。

12AU7、6AV6、6BQ5の構成だったとわかりました。

6AV6という真空管は最近見かけませんが、12AU7や6BQ5は今でもよく使われています。
6AV6は12AX7に変わって使われるようになったようです。

6BQ5memo2.jpg

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2008年09月27日

歪みの多いアンプで音楽を聴くなんて、ナンセンスです

高調波が奇数だの偶数だのと言ったって、歪みのあるアンプなんてダメです。

そんなこと言ったって、歪みのないアンプなんて存在しないよなんて言う人がいるとしたら、幼稚ですよ。

ここで、歪みのないアンプという意味は、人間の耳では検知できないほど歪みが小さいアンプという意味です。

こう書かないと、最近は枝葉末節というか、ある程度以上の知能があれば当然理解できることでも、違うとかなんとかクレームつける人がたまに現れるからです。

ここで言うある程度の以上の知能とは、大人の知能という意味です。

「お子さんは何処へ行かれたのですか?」

「ああ、うちの子はね、何でもサイクルリンに行くとか言ってね・・・」

という会話があると、大人の知能がある人は、笑って「サイクリング」のことを言っているのだと理解するのです。
そうでなければ

「ああ、おかあさん、○○君はサイクリングに行ったのですね?」

なんて返します。

コンピュータではだめですよ。

101○を同一と認識してくれませんからね。
普通の知能の持ち主なら、前後の意味から1○を数字の十なのか、数字の1と○であるかどうかは区別してくれます。

だから、まれに現れるこの0か○を問題にする人、間違いは間違いだと言って譲らないような人は

「この人、本当にこの程度の知能かな?」

debussy.jpgとも考えたりして、いい年をしても知能は発達していないのかも知れないと思ってしまうこともあります。
問題は0か○にこだわって、一番大切な数値そりものの問題がどこかに行ってしまうことです。

ここまで書いてくると、もう一つ不安が出てきました。

と言うのは、以上のことを書いていると、これを読んだ人のうち

「オレのことを言っている」

と感じる人が、これまたたまにいるということです。

ここに私が書いている文章は、誰が読んでいるのか私にはわかりません。

だから、特定の誰かの悪口を言っているなんてものではありません。

今日は、変な方向へ脱線してしまいました。

本論に戻しましょう。

◆どういう装置が良いか

音楽を聴く以上、装置自体の歪みは聞こえない程度のもので聴きたいということです。

だから、その装置の持つ歪みがよい歪みとか悪い歪みとかなんて関係ありません。

また、そういう装置自体が持つ歪みと、現実の楽器の音をごっちゃにして論じて欲しくない。
現実の楽器が発する音なら、それが不快な音なら不快な音として再生されなければなりません。

現実の楽器が発する不快な音まで、快適にしてしまう装置があるとしたら、私はそんな装置は要りません。

快適な音はより快適にするという装置は、これも私にとっては困りものです。

アナログのレコードの音がいいということで、フアンも多いですが、アナログのレコードなら何でも良い音がするというものでもありません。
ひどい音のするレコードもあります。

良いものは良く、悪いものは悪く正直に再生する装置が、私にとってよい装置なのです。

◆不協和音は汚いか?

不協和音が汚いと言うなら、頻繁に9、11、13度の和音が出てくるドビュッシーの音楽はほとんど汚いということになります。

そういう誤解があるせいか、アンサンブルを指導している時、不協和音の箇所になると「ここは汚くて良いのだ」と思ったりする人がいて、メチャクチャをやって困ることがあります。

ドビュッシーの音楽は汚い音楽だって思っている人って、どのくらいいるんでしょうかね?

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2008年09月26日

真空管アンプは音が良いか?(5)

「真空管の歪みは偶数次高調波だから、耳に心地よい」という説について。

真空管アンプを商売としている会社に、こういう説明があった。

逆に、奇数次の歪みは耳につきやすく、不快に感じる。
さらに、真空管は奇数次の歪み(高調波)を押さえ、偶数次の高調波を強調するように働くとも言っている。

自然界に多い、偶数次の高調波が人に心地よく感じさせると説明しているが、これには大変疑問がある。

楽器も偶数次の倍音からできていて、これが真空管アンプの音の良さとマッチしているとの説明もある。

しかし、これは完全な間違いである。

FlClbaion.jpg
楽器は、確かに倍音を利用して音階を作っているが、その倍音は偶数次だけではない。

例えば、閉管のクラリネットは奇数次の倍音が基本となって、音階を構成している。
奇数次の倍音でできている、クラリネットの音を不快と感じる人がどのくらいいるのだろうか?

オーケストラでは、フルート、オーボエ、クラリネットの3本でユニゾンを奏することが多い。
その時、クラリネットの柔らかい音色がフルート、オーボエの刺激的な音色の中にとけ込んでまろやかにする役目をしている。

また、このような奇数、偶数の倍音説に意義を唱えながら、人間の耳に不快に感じるのは不協和音であると説明している文献もある。

不協和音が不快、汚いと言うのは間違いである。


不協和音が多彩な色彩を作り、音楽を魅力的にしている。
協和音の連続の音楽など、平凡でつまらないものである。


[まとめ]

奇数だろうが偶数だろうが、アンプの歪みは人の耳の検知外になるように極小であることがが望ましい。

歪みが人の耳に感じるということは、奇数でも偶数でもHIFIを阻害する。
それだけ、原音に何かを付加することになる。

楽器の倍音とアンプの高調波歪みの倍音を関係づけるのはナンセンス。

楽器にどういう倍音が含まれようが、その楽器の倍音を忠実に再現することが望ましいと思う。
アンプは楽器ではない(ギターアンプの場合は、積極的にアンプの歪みで音色を作っている)。

楽器の音色的な魅力は、音階に全く関係ない雑音とも言える周波数が関係して作り出している。

楽器は音階の倍音を一番強く出すように作られるが、それらと無関係な音がどのくらい混じるかが大切である。

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2008年09月24日

真空管アンプは音が良いか?(4)

Triode_vacuum_tube.jpg真空管の模式図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より


「真空管アンプは音が良いか?」と題して、真空管アンプの音作りに大きく影響しているのはOUTPUTトランスであると述べた。

だから「真空管の音は・・・だ」という意見の中には、トランスの特徴を指して言っていることが多いのではないかと思うということも述べた。

これは、言い換えると、[真空管アンプの音=トランスの音]と言っているのではない。

真空管アンプにとって、真空管そのものは主役であり、当然、アンプ全体の特徴を表している。
もし、[真空管アンプの音=トランスの音]であるなら、わざわざKT-88やWE-300Bを使わないで、6BM8、6BQ5あたりを使っておけばよいことになる。

問題は、アンプ全体にどの程度影響を与えているかと言うと、トランスの善し悪しが80%を占めると言う人もいる。

そういうトランスの影響だけでなく、私は常々疑問に思い、まだ誰も言及していないのではないか(少なくとも、私は知らない)と思うことがある。

中学生の頃、真空管アンプよく作ったのだが、ある日、スピーカーからは音が出ていないのだが、何やら小さな音で音楽が聞こえてくることに気がついた。

その音の出所をつきとめると、それは真空管であった。
真空管が鳴っているのに驚いた。
それで、真空管は鳴るんだということを知った。

それから以後、オーディオに親しんでいくうちに、鳴るのは真空管ではなくケープルも、いやコンデンサーも・・・いろいろな部品が鳴る(鳴く)ということを知った。

そして、スピーカー以外のものが鳴くということはHIFIとしては有害であるとの説明があることも知った。
だから、オーディオには鳴きを止める対策がいろいろなところにある。

ところが、冒頭の真空管の模式図を見るとわかるように、真空管はガラスのチューブの中に電極があり、これらの電極は足の部分は固定されているものの、大半の部分は宙に浮いた状態で振動はかなり自由である。
(だから、真空管は鳴くのだと思うけど)

振動を抑える対策は、真空管に対しては不可能ではないかと思う。
ここは、真空管をHIFIとして使うための致命的な部分ではないだろうか?

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2008年09月22日

真空管アンプは音が良いか?(3)

真空管アンプの音が良いという理由に、真空管は徐々に歪みが増加するからという説がある。
3kyokuwairitsu.jpg左の図は3極管の出力対歪率特性の例である。
特に3極管では、出力の増加とともに歪率は正比例のカーブに近いように増加する。

人の耳は急激な変化に対しては敏感だが、徐々に増加するものに対しては変化を感じにくいという特性がその根拠であると言われる。
5極管では歪率の増加はもっと急激になる。
それで、5極管を3極管のように使う3極管接続(ウルトラリニア接続)という回路もある。

確かに、トランジスタアンプでは出力対歪率特性は、カーブが急激である。
trwairitsu.jpgだから、トランジスタアンプでは、かなり余裕を持ったパワーがないと、急激に歪みが増加する領域に突入する恐れが多くなる。

このパワーの余裕はどれほどあったらよいのかというのも、関心事の一つである。
Accuphaseでは2000Wのアンプがあるが、故春日社長はこのアンプのことを「静かな音楽が聴きたいから作った」と言ってみえたことを記憶している。

アンプのパワーが大きいと、スピーカーを壊す恐れがないかと思うのだが、オーディオに長けた人の言うには、むしろ低出力のアンプの方がその恐れが高いとそうだ。

理由は歪率の高い領域に突入しやすく、大きな高調波歪みによって、スピーカーに過大の負担をかけるからだと説明を聞いた。

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2008年09月17日

真空管アンプは音が良いか?(2)

真空管アンプの音作りに大きく影響しているのがトランス(Output Trans)なら、トランスを排除して直接スピーカーに繋げばいいわけです。

しかし、真空管アンプの出力はプレートであり、プレートには通常、数百ボルトの直流電圧がかかっています。
その途中にスピーカーを直接繋ぐことはできません(スピーカーは壊れてしまいます)。

これを回路的に解決するためには、ホイートストーンブリッジという回路を使う方法があります。btl.gif左の図がホイートストーンブリッジを使った回路です。
ABCDは真空管で、図の真ん中にあるようにスピーカーを繋ぎます。
こういうアンプをBTL(Bridged Trans Less)アンプと言います。

私はこの回路を使った真空管アンプを、昔、製作したことがあります。
ずいぶん大がかりなものになってしまいました。
実際、作ってみるとブリッジにかかる電圧のバランスが不安定で、怖くてなかなかスピーカーを繋ぐことができないという笑い話になってしまいました。

バランスをとるのが難しいのは、真空管の内部抵抗が高い、つまりそれだけ真空管アンプは不安定要素を持っているということでもあります。

最近のトランジスタアンプは2台用意して、簡単にBTLアンプを実現できる製品も見られます。

真空管アンプでBTLアンプを実現すれば、真空管そのものの持つ個性的な音を聞くことができます。
周波数特性や位相などをトランスに制限されることもありません。

しかし、BTLはかなり大がかりなものになってしまいますから、それよりトランスに性能のよいもの使うとか、トランスによって積極的に音作りをするという考えもあります。

アンプの音色は、配線材、抵抗、コンデンサなど、どの回路素子を変えても変わります。
それが、アンプ製作者の主張になるとも言えます。
また、低域から高域まで特性のよいトランスを使うとなると、トランスにかける費用は大きくなります。

そういう点では、トランスを使わないトランジスタアンプが有利とも言えます。

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2008年09月16日

真空管アンプは音が良いか?(1)

オーディオもやや再燃した感じもする中、真空管アンプの情報が多くなってきました。

ところで、真空管アンプがもてはやされるのは、本当に音が良いからなのでしょうか?
率直に言うと、私は、真空管アンプは音が良いという意見には懐疑的です。

真空管アンプの音の評価は、まろやか、暖かみがあるなどの言葉が多く使ってあります。
本当にそうなのでしょうか?

私は何十年も前から、真空管アンプを製作してきました。
だから、真空管アンプを知り尽くしているとは言いませんが、それでも真空管アンプの音の印象というものには、一定の感触を持っています。

そして、このごろは、実は真空管の音というのは、真空管の音ではないとの印象を強くしています。

と言うと、真空管アンプの音を聞いて真空管アンプの音ではないというのはどういうことかという質問をしたくなる人もいると思います。

ズバリ、多くの人が「真空管(アンプ)の音は・・・」と言っているのは、真空管の音ではなく、トランスの音ではないかと思っています。

その証拠に、トランジスタアンプの終段にトランスをつけて、スピーカーにつなぐと真空管アンプのような音になります。

真空管アンプは、まず、ほとんどトランスを介してスピーカーに接続するようになっています。
そのせいで、真空管アンプの特性(性能)は大部分がトランスの性能に支配されてしまいます。
だから、真空管の音だと思っているのは、実はトランスの音であるという根拠がここにあると思うのです。

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2008年09月11日

パソコンのモニター

pm04_3.jpgパソコンもCD-Rを使ったり、音楽を編集することが多くなったので、少しはましなモニターを使ってみようと、左の写真のFOSTEX、PM0.4に換えてみた。

仕上げは高級感があり、いかにもよさそうという感じだ。










■主な仕様
スピーカー部
エンクロージャー方式 2ウェイ・バスレフ方式
内蔵ユニット 100mmウーハー/16mmソフトドーム・ツィーター(防磁型)
インピーダンス 4Ω
再生周波数帯域 60Hz〜30kHz
クロスオーバー周波数 1.5kHz
エンクロージャー容積 約2.8L
アンプ部
定格出力 低城=18W、高城=18W、可変ボリューム付
入力 φ6mmTRSフォーン・ジャック(バランス)、-16dBV、54kΩ以上
RCAピン・ジャック(アンバランス)、-10dBV、54kΩ以上
高調周波数歪率 0.1%(at 12W/4Ω 20Hz〜20kHz)
S/N 75dB(20Hz〜20kHz、not weighted)
一般
外形寸法 144(W)×220(H)×180(D)mm
本体質量 約3.75kg
電源/消費電力 AC100V/40W

アンプ内蔵で、バイアンプで駆動している。

私はマルチアンプよりバイアンプの方が好きである。
また、マルチアンプにしろバイアンプにしろ、使用するアンプはすべて同じアンプを使用すべきとの結論を持っている。

高域にはパワーが必要がないから、小出力で高域特性のよいものという意見もあるが、高域と低域でアンプを変えると、音色の違いが出てしまって都合が悪い。pm04_2.jpg

その上マルチにすると、パワーのバランスがますますとりにくくなる。
良質なネットワークを使えば、バイアンプが良いと思う。

さて、このFOSTEXのモニターだが、パソコンにおまけ程度についているスピーカーよりはかなりましだが、鳴らしてみるとパソコンのオーディオ関係の部品が貧弱であることに気づいた。

ということで、評価は、オーディオカードと呼ばれる高音質をうたったパーツに変更してからにしたいと思う。

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2008年09月04日

コンポーネントステレオの選び方

現在販売されているオーディオ機器から、コンポーネントステレオをセットしようとすると、100万円は予算がないと苦しい。

もちろん、それ以下の金額でもできないと言うことではないが、音楽を聴くジャンルを選ばず、ジャズでも、ロックでも、クラシックでも何でもそれなりに再生するという装置を目指すと、あるレベルのグレードは必要と思う。

だが、ここで注意することは、予算が多ければ何を選んでもよいということではない。

私の実際に経験したことだが、ある有名なオーディオメーカーのスピーカーはジャズを聴くとなかなかよい感じだった。
ところが、クラシック(交響曲)を聴くと、これがさっぱりだった。

まことに軽薄な音になってしまって、幻滅したことがある。

デザインは、自分の部屋に置きたいという気持ちをすごくそそられるものであった。

そういう、あるジャンルにとてもいいというスピーカーは、そういう音楽だけにマッチングして共鳴するというもので、実際の演奏を再現するという方向とは違うような気がする。

だから、このスピーカーで何々を聴くとすばらしいと評されるものは特有なクセがあるとみてよいと思う。

良いスピーカーはどんな入力にも耐えられるものである。

ジャズでもロックでもクラシックでも、良い録音、良い演奏はそれなりに再生する。

低音が足りないとか高音が足りないと感じると、トーンコントロールで補正しようと思うかも知れないが、私は全くトーンコントロールは使わない。
だから、トーンコントロールは回路をパスする設定にしてある。

補正しなければ聞けないような、CDやレコードはもともとよくないものだと考えている。

また、いちいちトーンコントロールで補正していると、自分の装置の基準もわからなくなる。

実は、私は低中高とそれぞれ専用アンプを用意し、スピーカーを鳴らしていたことがある。
一体、どのバランスが正常なのかということが次第にわからなくなっていったある日、アンプの一台が故障した。

それを機会に、アンプを一台に戻した。
何か平凡な音のような気がした。

それは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のレコードを聴いている時だった。

しばらく聴いているうちに、これが本当なのではないかと思うようになった。

いろいろやっているうちに、自分の耳が何かインパクトのある音を求めて、バランスを崩していたのだ。

そういう段階で、私のステレオを聴いていたお客さんの中には疑問を持つ人もいたのだろうと思った。

オーディオは他人の装置について、なかなか悪くは言えない世界だと思う。

そういう意味では、お世辞でなく、聴いてくれた人に率直に感想を言ってもらうようにすることが大切だと思う。

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2008年09月03日

ベストコンポの価格は?

再びオーディオブームが再燃してきたのか、最近はオーディオに関する雑誌を目にするようになった。

今、コンポーネントステレオをそろえると、いくらぐらいかかるのだろう?

例えば、30万円という金額。
これは、思い切って頑張って投資しようとする、普通は限界の金額ではないかと思う。

そこで、思い切ってオーディオに投資をして、現在30万円でそろえられるか?
というか、30万円で「どのくらいの音」がするのだろうかということになる。

雑誌「特選街」は「大人のオーディオ百科」という特集で、専門家によるコンポーネントの組み合わせ例をいくつか載せている。

もし、コンポーネントを買おうとするとき、私が強く思うことは見栄を張らないことだと思う。

その理由は、特に専門店に行くと、店員があれこれすすめるうち
「どうですか、すばらしいでしょう?」
とか
「こちらの方が、ずっといいですね」
とか、価格やデザインを見て、実際はいいのか悪いのかわからないのに、耳が良くないと思われないがために、店員のペースに乗ってしまうからである。

わからないものはわからないと、正直に言おう。

もっとも、見栄の強い人がいるので、店も儲かると言えるのだろうが。

まあ、音の違いがわかるようになって、順次グレードアップした方がよいのではないかと思う。

ところで、具体的に予算はどれだけ必要かということだが、わからない家は、ミニコンポで満足な音だと思えばそれでいいのではないか?

ただ、耳というのは、舌と同様肥えてくるように思うので、グレードアップはきりがない。

私が、現行の製品で組み合わせるとしたら、どうしても100万円は超えてしまう。
100万円は大金だ。
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2008年05月03日

コンセントで音が変わるか?

furutec.gifオーディオで、電気回路の接点が重要であることは体験している。

やたらと切り替えスイッチの多いアンプの、あまり重要でないスイッチをキャンセルしたら、音が激変した経験をしている。

我が装置も、少し落ち着いてきたところで、だんだん細かいところに目がいくようになった。

いつか、部屋が汚いというご指摘があったが、引っ越し物も徐々に整理され以前とは様変わりしている。

先日、来客があったが「あれっ!片づいているじゃん!」と驚きの声をあげた人がいる。

「長く聴いていても、疲れない音ですね」

と言われ、励みになった。

接点に注目し、今回は大本の電気供給源である壁コンセントをグレードアップしてみることにした。

接点がきれいならいいかという簡単な気持ちだったが、オーディオ店に行ってみると、たかがコンセントでも値段差がある。
やや店員のペースにのってしまった感もあるが、FURUTECHのロジウムのコンセントに決定。
7,930円だった。

まあ、ここまではよかったとしても、コンセントカバーも換えなければならないということで、こんなものは何でもいいだろうと言ったら、とんでもないと言われた。

consentcover.gif
振動しないために、カバーにも気をつかうべきだと言う。

よし、わかった、それでは気をつかってと言ったところまではいいが、こんなコンセントカバーだけで、7,560円もした。
やはりFURUTECH製だ。

併せて15,490円。

たかが壁コンセントを換えるだけで15,000円以上かかるとは!

早速、交換して試聴。

何か、音が硬くなったような?
いや、もやっとしたものが取れて、音が明瞭になった?

決定的な効果は、これからいろいろ聴いてみないとわかりません。

ということで、今回は壁コンセントに金をつかったという話でした。
また、後日、報告の予定です。
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2008年04月10日

トーンアームの調整はデリケート

pickup.jpgトーンアームの調整をするときは、針圧やインサイドフォースキャンセラーなどの指定値を正確に守ることは大切だ。

マニュアルを読み、神経を使って設定したつもりだった。
だが、再生してみると音の悪いレコードがある。
そうしたレコードの音の傾向は、歪みっぽい。

これは録音の悪いレコードだと思っていた。
だが、最近、トーンアームの調整を許容値の範囲で少し変えてみた。

そうしたら、音がガラリと変わった。
音が悪いと思っていたレコードは、悪いレコードではなかったのだ。
歪みっぽい音はなくなり、弦楽器の細かい音(高調波)が繊細に再生されるようになった。

これまでよくないと思っていたレコードを再生してみたら、レンジの狭いレコードはそれなりに、きちんと音を拾っているという感じになった。tonearm.jpg

レコードは急激な大音量には弱いと思っていたが、そんなことはなくビリつきの不安感もなくなった。

また、バイアンプの効果なのか、ティンパニの音のリアル感が増した感じだ。
しまりのある音で、皮を叩く衝撃音がきちんと聞こえるので、他の音を濁すような感じがない。

CDプレーヤーのようなデジタル機器でも、設置する場所などの影響を受けるように、アナログ的な要素はあるが、レコード再生に於いては設定が大変にデリケートであるという改めて実感した。
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posted by dolce at 21:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

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