クラリネットのシステムの話です。
最も多く使用されているのはベーム式ですが、エーラー式にも魅力を感じています。
フランスがベーム式で隣のドイツがエーラー式というのも対照的ですが、文化の違いでしょうか、音色がずいぶん違います。
特にクラリネットに関心を持たない人は気がつかないかも知れませんが、ドイツのオーケストラは、皆、エーラー式を使っているので、奏者の個性なのか楽器の特徴なのか、気がつきにくいかも知れません。
どちらのシステムが良いというのではなく、演奏する曲に合っているかどうかということを、私はよく考えます。
例えば、ブラームスはエーラー式で演奏したいと思います。
ベーム式だと、ちょっと明るすぎるなあと感じるので、地味に演奏しようとすると息が苦しくなります。
両者の音色を大きく隔てているのは、管本体の作りの違いが大きいです。
エーラー式の方が少し細く、内径もほとんど円筒に作られています。
クラリネットは円筒形楽器だから、円筒になっているのは当たり前のような気がしますが、全体を全く円筒形にすると音の抜けが悪くなります。
そこで、ベーム式は下管の方はベルの開口部に向かって次第に円錐形になっています。
それが、ドイツで作られているエーラー式はベルの部分までは円筒です。
それで、通気性が悪くなる、つまり音の抜けが悪くなるので、ベルの横に通気孔が開けてあります。
そんなことをするぐらいなら、円錐に削ればよいと思うのですが、これがドイツの伝統のようです。
エーラー式は管が細いだけでなく、マウスピースやリードもやや小型です。
リガチャー(締め金)は伝統的に「ひも」で、そのためにマウスピースにはひもが巻きやすい溝が作ってあります。
ベーム式とエーラー式で、奏者にとって一番の問題は「運指」です。
ある人の話では、ベーム式にすると30%ぐらいテクニックが落ちると言っていました。
それなら、エーラー式の管にベーム式のキーをつけたらという考えが出てきます。
この方式を採用しているのが、オランダです。
これを「リフォームドベイ」と言っています。
私は楽器を買うに際しては、国内、国外の偏見はありません。
今使っているのはフランス製ですが、ヤマハにも魅力を感じています。
特に吹いてみたいと思ったのは、型名で言うと、YCL-950Ideal(B♭)
、YCL-940Ideal(A)で、ベルにリングがはめてないモデルです。
ヤマハはエーラー式も受注で作っていますが、リフームドベイも受注で作っています。
型名はYCL-856、YCL-846で、いつか試してみたいと思っています。
posted by dolce at 21:22
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