2008年01月24日

ヴァイオリン協奏曲(2)

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

レコードの売れ行きが、作品の芸術性の高さを決めるものではない。
そういう意味では、商売と芸術は相容れない面もある。

特に、歴史に残る不世出の芸術家の作品は、一般人ではすぐに理解できないものも多いと思う。

ブラームスの作品はクラシックフアンとして足を踏み入れた人にとっては、なじみの曲が多いと思うが、このヴァイオリン協奏曲もクラシックフアンがよく聴く曲であると思う。

先に挙げた、ベートーヴェン、チャイコフスキー、メンデルスゾーンと同列に挙げてもよいと思ったが、クラシックにあまりなじみのない人にとっては、少しだけブラームスは遠い気がしたので2回目にとりあげることにした。

筆者はブラームスが大好きであり、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が甘い、すてきなケーキであるとすると、このブラームスの協奏曲は味わうたびに味の出てくる主食のようなイメージでもある。

もちろん、この比喩は両者の優劣を言うものではないので、誤解のないようにお願いしたい。

以下はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』による解説である。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77(Violinkonzert D-Dur op.77)は、1878年に作曲されたヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲。

ブラームスは、父親がコントラバス奏者であったため幼時からピアノよりも先にヴァイオリンとチェロを学び、そのメカニックを理解してはいたが、最初の(そして1曲だけの)ヴァイオリン協奏曲を書き上げたのは45歳になってからだった。これは、交響曲第2番の翌年という、彼の創作活動が頂点に達した時期にあたり、交響的な重厚な響き、入念な主題操作、独奏楽器を突出させないバランス感覚、いずれもブラームスの個性が存分に表現された名作となった。本作品は、ベートーヴェン、メンデルスゾーンの作品と並んで3大ヴァイオリン協奏曲と賞されている。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を「メン・コン」と呼ぶのに対して、本作品を「ブラ・コン」(ブラームスのコンチェルトの略)と呼ぶことがある。しかし、メンデルスゾーンの場合とは異なり、ブラームスの2曲のピアノ協奏曲はいずれも本作品を凌駕するほどの名声を有しており、本作品を「ブラ・コン」の名で呼ぶ場面は自ずから制限される。

この作品を聴いたシベリウスは、その交響的な響きに衝撃を受け、自作のヴァイオリン協奏曲を全面的に改訂するきっかけとなった。

一方チャイコフスキーは、メック夫人へ宛の手紙で、この曲について「私の好みに合わない」「詩情が欠けているのに、異常なほどに深遠さを装ってみせる」と酷評している。


私は「ブラ・コン」などと省略した呼び方は好きではない。
(響きが嫌いである)

協奏曲の作曲された背景には、大抵、名奏者がいるものだが、ブラームスにもヨアヒムという名奏者が関わっている。
作曲の途中、ヨアヒムはこの協奏曲について、変更の提言をしたそうだが、ブラームスは全部は聞き入れなかったということである。

ブラームスというと、思い出すのはシューマンがブラームスの才能を世に広めたことで、ブラームスが音楽家として出発する門を開いたという文献を読んだことである。

haan_vi.jpgシューマンは後に精神病院に入り亡くなってしまうが、その後、ブラームスが家庭のめんどうをみたという記述が心に残っている。

ブラームスの曲は、初めて聴くと、気むずかしそうな作曲家であるという感じも持ちやすいかも知れない。
しかし、少しなじむと彼は非常にロマンチストで、暖かい心の持ち主であったのではないかと私は感じるようになった。

優れた演奏はたくさんあって、どの録音をとりあげるかに困る。
手元にあるメニューイン(vi)、ルツェルン・フェスティバル・オーケストラ、フルトヴェングラー指揮(外国盤)のレコードはずいぶん古いものだけれど、音は驚くほどよい。

最近、の奏者ではヒラリー・ハーン(vi)、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(Orch)、ネビル・マリナー指揮がよかった。

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posted by dolce at 20:13 | Comment(0) | TrackBack(1) | 協奏曲

2008年01月23日

ヴァイオリン協奏曲(1)

クラシックに興味を持ち始めた人の案内になるように、いろいろな楽器の協奏曲を取り上げてみたいと思います。

協奏曲を取り上げる理由は、協奏曲を聴くことによって、各楽器の特徴がよくわかるということと、協奏曲が作曲された背景には、たいていはその楽器の名手がいたということで、名人芸が聴けるということです。

筆者の独断で取り上げますが、読者でご意見があればお寄せください。

まず始めはヴァイオリン協奏曲を取り上げてみました。

ヴァイオリン協奏曲で、最も演奏回数の多いのは、恐らく

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64


の3曲ではないかと思います。
この3曲の演奏回数が多いと感じるのは、作品が優れているのはもちろんですが、メロディーが親しみやすく、あまりクラシックになじみのない人たちにも好まれるからだと思うからです。

レコード会社も商売ですから、なるべくたくさん売れそうな企画をするんだと思います。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、のだめカンタービレでも演奏されていた曲ですね。

そこで、これらを聴くにはどのCD(レコード)がいいのかということになりますが、名手たちが競って演奏していますから、一つに絞ることはなかなか難しいですね。
しかし、録音という技術を通すことで、演奏者と録音技術がうまく噛み合うかどうかの問題もあります。

ベートーヴェンは、
vi_chon.jpg古くはクライスラー演奏のブレッヒ盤が有名ですが、SP時代の録音ということもあり、手に入れるのは難しいでしょう。
入手しやすいということも考慮し、チョン・キョン・ファ独奏、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、テンシュテツト指揮を取り上げてみました。

録音はやや古いが、手に入ればオイストラフ/クリュイタンスフランチェスカッティ/ワルターもすばらしいです。



チャイコフスキーは、
vi_goto.jpg
五嶋みどり独奏、ベルリンフィル、アバド指揮がすばらしいです。
彼女の17歳の演奏を聴いたとき、とても17歳とは信じられませんでした。







メンデルスゾーンは、vi_milsitin.jpgミルシティン独奏、ウィーンフィル、アバド指揮です。
このCDは、チャイコフスキーの協奏曲も入っているのでお買い得かも知れません。

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posted by dolce at 19:10 | Comment(0) | TrackBack(1) | 協奏曲

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