
演奏会の数日前に友人から招待されたものだ。
平日の午後2時という時間にも、会場はほぼ満席であった。
グレン・ミラー オーケストラとは歴史的な定番なので、レコードやCDで聴いているし、昔のスタイルを引き継いでいるがメンバーは当然入れ替わっているので、特に新味はないのではと正直、思っていた。
ところが、実際に演奏を聴いてみたらすばらしさに感激した。
久しぶりに心が揺さぶられた。
正直、演奏中、涙が出てきた。
ジャズだからうるさいこともあるかな、と思っていたが、全然そんなことはなく、それより、こんなに美しい音があるのだと夢見心地になった。
リズムは合わせているというより、もう体に染みついている感じで、数十人がピッタリ、みな自然に呼吸していて合っているのだ。
ソロが入れ替わり立ち代り交代するが、これがみな超一流。
アメリカは奏者の層が厚いので、こういう有名なバンドにはなかなか入れないだろう。
生演奏を聴くと、しばしば「こういう音は、オーディオではとても再現できないな」と感じて、しばらくは我家の装置で聴く気はしなくなるのだが、今回もそういう気分になった。
偶然と言えば、市の図書館に寄ったところ、グレン・ミラーのポスターが貼ってあったので、よく見たら、翌月の12月に「グレン・ミラー物語」の上映のポスターだった。
これはぜひ見ようと、当日は開館と同時に会場の入口に並んだ。
私は10番目ぐらいだった。
280人ほどで定員なので、悠々と入れたが、人気は高かった。
映画ははじめて見たが、これも感動した。
やはり涙が出てきて、周りの人に気づかれないかと恥ずかしい思いをした。
年取って涙もろくなったのかも知れない。
主演のジェームス・スチュワートは、はまり役だ。
グレン・ミラーその人かと思ってしまう。



